何一つ交差しない、感情の亡霊たち。

樹齢仟年を超える杉の御神木。其処には
漆黒の怪鳥が棲むという。
 方や、村には一人の童女。御神木を我が
よすがとして崇め奉る。

或る時、杉の御神木と怪鳥に異変が。

夜を徹して叫び狂う怪鳥の声。白羽の矢で
縫い止められる様に自由を奪われた怪鳥の
姿があった。

御神木への不敬。変わらぬ日々ではあり
ながらも、自由を奪われた怪鳥の苦しみ。
大切なものを穢された童女の怒り。

彼女は怪鳥を御神木から解放すべく
必死になって禁を解こうと試みる。そして
自由を得たのは一体何者か。

 長じて娘となった童女の死。それを
見つめる怪鳥。神座す御神木。


事実をそのまま記しても多分、この物語を
理解する事は出来ない筈だ。それだけに
悲しみはない。只、互いの思いが全く交差する事のない 事実 だけが。

其処に ある だけ。



※他の作品と微妙にリンクしている譚。
是非とも作者の書庫を覗いて見て欲しい。
同様の題名だが全く違ったテイストの
作品もあり、見応えがあります。