ぴたりとはまる愛の形を探してしまう

チェーンスモーカーの文則は、結月と共に死ぬことを選んでくれた。決して素行がいいとは言えない男だったけれど、剥き出しの愛情を紫煙とともに注いでくれていたのかなと感じました。

世間一般で「ちゃんとした大人」に分類されるであろう孝典は、結月を看取ると言ってくれた。それは結月に寂しい思いをさせまいとする優しさと愛情があればこその言葉かもしれないけれど、熱量でいえば文則の方が強く深く愛してくれた気がします。

どちらの愛と共に歩んでも結月は「幸せ」にはなれるけれど、結月自身の心にぴたりと当てはまる愛の形はひとつしかない。
そのひとつを選ぶ決め手となるのは……と考えさせられる話でした。

その他のおすすめレビュー

Akira Clementiさんの他のおすすめレビュー259