第2話 神楽の憂い

時は西暦1101年11月11日。


神楽は名前を麗子と改め、

京にある御所から伊勢にある斎宮へと下向する事になりました。


中言命婦「宮様、神楽内親王よりも麗子内親王の方がすんなり来ますわ…。ですから…これは主上からの御配慮だとお考え下さりませ。後見のない宮様が内裏で生きるのは気の毒だと思われた主上からの…」


神楽「中言命婦、私は、

何の為に生きているのかしら?」


元々、神楽と言うのは…

舞や雅な世界を好んでいた母親である官女・あやが名付けた名前だと中言命婦からは聞かされていたのですが…神楽は誰に似たのか…物心ついた頃より決まりきったものに従う事が嫌いでした。


平安時代と後世で呼ばれている時代では〇子と言う名前が主流だったのですが神楽と言う自分の名前には子はついておらず自分らしさを感じられて神楽はこの名前を大変気に入っておりました。


しかし…


神楽「麗子内親王…?内親王宣下を受けた事で名前を改める必要があるならば内親王宣下なんか受けたくなかったのに…主上はいつも自分が1番だから下の者の気持ちが分からないのよ。」


神楽が怒りを露わにしているのには、それ以外にもある理由があり…


それは…


神楽「中言命婦、皇后由里子様の内親王である淑子よしこ様が斎王となるべきだと占いで示されていたと内侍から聞き及んでいるのだけれど…」


宮津帝の内侍は下弦命婦かげんのみょうぶで官女であった今は亡き神楽の母親・彩の同期でした。


中言命婦「まぁ…あのお喋り内侍と来たら内裏へ戻る日が来たら小言を言わなければならないようね…」








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月明かり @Iroha0103

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