月明かり

@Iroha0103

第1話 序章


斎宮さいおうの歴史は古く

飛鳥時代から始まったのだと神楽は、

父親であり今上天皇でもある宮津帝より今になって聞いていました。


時は西暦1011年11月11日。


場所は京の御所にある今上天皇・

宮津帝の住まいでもある清涼殿。


御簾越しに

会話を交わす父娘おやこは、


神楽「斎王の歴史が古い事も、

主上おかみの御世を永久に続かせる為に必要な事も理解しました。」


宮津帝「そなたはいつから朕の事を他人行儀に呼ぶようになったのだろうか?」


父娘おやこではありましたが、

心の距離が尋常ではない程遠く…


中言命婦ちゅうげんのみょうぶ…神楽の乳母で産まれた時から神楽に仕え第2の母親と同じ立ち位置。


中言命婦「宮様、

主上に対して無礼ですよ?」


乳母である中言命婦はその都度、

父娘おやこの為に心を砕き

このように話をしているものの…


神楽「斎王になるため、改名せよと言う命令だけは幾ら主上の命でも応えられませぬ…!」


神楽は改名だけは…断固として拒否するつもりだったのですが…


宮津帝「神楽かぐらと言う名前は斎王として相応しくはない。色んな意味合いから名前を変えるべきではないのか?」


色んな意味合い…

それは神楽の祖父である

菅原信時が関係しておりました。


神楽「お祖父様が時の太政大臣である藤原顕光様に逆らったからですか?」


神楽の母親であるあやの父親である菅原信時は宮津帝の兄である上弦上皇に仕えており上皇の一の皇子である八瀬皇子を次の帝にと進言してしまい失脚する事となりました。


宮津帝「あれは立派な裏切りよ。

あやも父の失脚を怨みに思い、自らの局である時渡局ときわたりのつぼねで命を絶ち内裏を穢れで汚したのだぞ…!そなたを内親王として内裏に留め置く事さえ許せないと言うに名前くらい改めても罰は当たるまい。寧ろそれだけで済んで有難いと思うが良い!」








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