後編

由美の母が、

病院に駆けつけたとき、

由美の意識はもうほとんどなく、

むろん喋ることなど出来なかった。


そして、

医療従事者たちの

必死の治療も甲斐なく、

由美は、

ほどなくその生涯を閉じた。

享年100歳の

摩訶不思議な人生だった。


ところが、

なんという天の配剤だろう。

由美には、

死ぬ直前に、

テレパシーの能力が芽生えていたのである。

そして、

病院に駆けつけた母に、

テレパシーで次のように語りかけていた。


(ママ、来てくれたのね。

もう口では喋れないけど、

テレパシーが使えるようになったみたい。

これって100歳になったご褒美かしら。

ママ、私そろそろ天国に召されそう。

ある意味、

これが私の最後のテレポーテーションね。

ママ、

私を、

エスパーの私を、

この世界に産んでくれて、

ありがとう。

人生の最後のたった数日だったけど、

テレポーテーションで人助けが出来て、

本当に幸せだったわ。

ママ、

さようなら。

思い返せば、

最後の最後まで、

心配かけっぱなしの親不孝な娘だったわ。

ママ、

ママはまだ50歳、

長生きしてね……)


これが、

由美の母が聞いた、

100歳の

ひとり娘の

最後のテレパシーの声だった。

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エスパー由美 滝口アルファ @971475

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