第6話

前述した通り私と九条とは中学からの付き合いだ。かれこれ十年以上の付き合いになる。十年、と言う歳月は長く感じられるけれど、その間に音信不通になったり、そしてどこからか連絡先を入手して電話を寄越して来たり、をだらだらと繰り返している。



でも、私たちははっきりと『付き合って』はいない。もちろん九条のブラックジョークの『体の関係』もない。



あるのは中学生から変わらないノリと






私が九条のこと「好き」





と言うことだけ。歳を重ねて、九条がホストになって……あ、今はホストじゃなくホスト店を経営してるオーナー様でもあったかしら。とにかく環境は変わったものの、不変的な何かは確実に存在している。



パワーウィンドウの外をちらほらと雪が降っていた。



「北海道行ってきたんだ~土産に蟹買ってきてやったぞ」と九条は運転しながらどこか楽しそう。



「北海道……ここより雪が多そうね」ぼんやりと呟きながら、九条に気づかれない程度にこっそりと、外気との差で曇った窓ガラスに、人差し指で



『好き』



と書く。



私の書いた文字は私の体で隠れて九条からは見えない。



「蟹すきしようぜ~、お前んちで」



「何であんたを一々上げないといけない?」



言い合いをしながら、やがて私のマンションに着く頃にはみぞれになった大粒の白いものが私の『好き』をかき消す。



「だってお前んち床暖あるじゃん?」



「そんな理由かよ」



中学生から変わってないこの関係とノリ。





今はまだ―――



この関係でいいや。




~FIN~



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雪に想いを… 魅洛 @miracle78

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