銀幕の綺羅星、異国の地に鬼を見ること。

1972年、日本から香港の映画界へと招聘
された銀幕スタア。
配給会社やスタッフ、監督に共演俳優陣。
申し分ない映画の主役に抜擢された彼は
異国情緒溢れる街での撮影に心を躍らせて
いた。
           筈だった。

 事件は、突然起きる。

信頼していた通訳の行方不明、そして死。
日本から来た別の目的を持つ男の、背後に
見え隠れする裏社会の暗躍。
 今は固く閉鎖されている『撮影所』で
起こった日本人による香港女優殺人事件。

その場所には、鬼(死者の霊)が巣食う。
 ソレは最初から『そういう場所』だ。

広東語が飛び交い、ノスタルジックで
美しい異国文化の中で、トラブルに次ぐ
トラブルに見舞われる銀幕スタアの彼。
当初反発し合っていた異国の共演俳優との
不器用な絆が少しずつ深まって行くも。

 また一人、姿を消す。


あまりに魅力的な登場人物たちの幾人かは
作者の別作品にも登場する。本作は、その
起源にもなるのだろうか。

天地開闢の祖『盤古』に因んだスタジオで
今も起き続ける、その惨劇とは。
一体どの様な因果を持つものなのか。

是非とも、その目で見届けられん事を。