第2話:期間限定彼女。

ふたりは店の入り口の横のコ◯コーラのロゴが入った斜めにちょっと傾いた

ベンチに座って仲良くタコ星人ウインナーが乗ったたこ焼きをハフハフ言い

ながら食べた。


「はふはふ・・・あく、あく〜・・・・はあ、あははあくい」


「慌てないでゆっくり食べなさいよ、詰まっちゃうよ」


「あはは・・・俺、猫舌なんらわ・・・」


「は?猫舌?・・・そうなんだ・・・」

「うちの弟もそうだったけど、もう克服してるよ」

「いいこと教えてあげようか?」


「教えて?なに?」


「あのね、熱いもの食べる時はね、舌先を下の歯の下に隠すの」

「で、そのままの状態で熱いもの食べてもそんなに熱いって感じないんだよ」


「え?そうなんだ・・・やってみよ」


紀行は雅の言ったとおり舌を歯の舌にか隠した状態でたこ焼きを食べてみた。


「あ〜ほんとら・・・熱くない・・・すご〜い・・・みやび〜すごい」

「あ、ごめん西野さん・・・」


「ね、熱くないでしょ?」


「目から鱗だわ」


「あのさ、大野君・・・」


「なに?」


「さっき、なんでたこ焼き屋のおばちゃんが私のこと大野君の彼女って聞いた時、

そうだって言ったの?・・・彼女じゃないのに・・・」


「あ〜ごめん・・・とっさにね・・・そうだって言わないと彼女もいないのかとか、情けないとか・・・モテないやつだとか、いろいろ言われるから面倒くさて・・・

で、いいやって思って・・・ごめん」


「うん・・・まあ、いいけど・・・」


「いいの?・・・まじで?・・・僕が勝手に言ったことだから拒否ってくれて

いいんだよ・・・拒否られたくないけど・・・」


「じゃ〜とりあえずこうしようか?」

「このお祭りの三日間だけ私が大野君の彼女でいてあげるっての・・・どう?」


「え?・・・祭りの間の・・・彼女?・・・それいいの?」


「期間限定彼女・・・どうせ私、暇だし・・・私とお祭り付き合う気あるなら

だけど・・・」


「あるある・・・金魚のウンコみたいに西野さんに付いていくから・・・」

「でもな〜・・・そうなると俺のトキメキも祭りが終わるまでか・・・」

「なんかさ、祭りが終わったら一気に寂しさが襲って来るからな〜・・・」

「心が寒いって言うか・・・嫌なんだ・・・そう言うの・・・」


「西野さんだって祭が終わったら知らんぷりだろ?」


「お祭りが終わっても寂しくならない方法あるにはあるけど・・・」


「え?そんな目出度い方法あるの?」


「それはね、祭りの間の大野君次第かな・・・私が大野君と一緖にいて楽しい

って思えたら、もしかして・・・」


「・・・・・・」


「西野さん・・・もうワンパック、タコ星人トッピング食べる?」


「うん、食べる・・・それから私のこと西野さんじゃなくてみやびって呼んでいいから・・・」


「まじで?」

「そのかわり、私は大野君のこと・・・のんちゃんって呼ぶから・・・」

「いい?」


「いいけど・・・それって祭・・・終わるまで?」


「ん〜一度でも呼びあったらきっとお祭り終わってもお互いそう呼び合ってると

思うけど・・・」


紀行はすぐにタコ星人トッピングを注文しに言った。

祭のことも雅のことも、この楽しい時間も含めて紀行は今めちゃトキメいていた。


おしまい。



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トキメキ天然色。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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