第4話

トリーは鬼さんにつかまらないようににげる。

「いたぞ!!」

みちがわかれてる。

「どっち?」

「トリー、アン!!左はだめ!!そっちは袋小路になってるの!!」

ヒダリ?

「あぁ、もう!お箸を持たない方よ!!早く!!」

オハシ?


「トリー、まっすぐ!!」


まっすぐ……

トリーはとんだ。まえにあった、おおきなたてものをとんだ。

「トリーもアンちゃんもすごいね!!澪ちゃん!こんな大きな建物に乗れちゃうんだ!」

へへ、トリーってすごいんだ!もじゃもじゃ、ありがとう!!

「さすが2人とも、改良されただけあるわね。とてもニンゲン業とは思えないわ」

トリーがもってる女がいう。

「澪さん、トリーとアンに左右が伝わるわけないでしょ。俺みたいに、わかりやすく『まっすぐ』って言わないとっ」

「普通、分かれ道が来たら左右のどっちかだと思うじゃない!!」

「まぁ、俺の助け舟がなかったら今頃あいつらに捕まってたな」

「うるっさいわね、次からは気をつけるわよ。あんた、そんなに喋ってると舌、噛むよ?」

「はいはい」


もう、たくさんはしったし、鬼さんいなくなったかなぁ

あかるかったのに、もう暗い。

「アン……ストップ……」

白いかみのひとが、とまる。

「トリー、一回止まって」

トリーもとまる。

「カイ?」

「……きゅう、けい……」

キノコは、その場でしゃがんだ。

「トリー、アン、おろして」

「カイくん、大丈夫?」

「…………酔った……むり……」

「あんた、酔ったの?」

「……う、ん」

よった?

「あれだけ建物の屋根、飛び交ってたからね。まぁ、酔ってもおかしくないわ」

もう、にげないの?

「トリーは、まだまだにげれるよ!!」

「アンも、まだまだはしれる」

白のかみのひとがしゃべった!!しゃべれるんだ!!

トリーは白いひとを、よしよしした。

「逃げてる最中だってのにほんわかしすぎよ」

女がわらった。

「むぎもなでなでされたい!アンちゃんだけずるい!!」

「そ〜だね〜むぎ!よぉしよしよしよし!」

女もトリーとおなじように、もじゃもじゃをよしよしした。ずるい。

「カイ〜、無事?」

「……いや……せかいが、まわ、って、るっ……きもち、わるっ」

せかいが、まわる?ぜんぜんうごいてないよ。

「三半規管……もしかして、耳を引き抜いたからかしら」

「たぶん……そうぅっ……」

キノコはゆかにねる

「そんなにしんどいなら、なんで耳なんてとったのよ」

みみってだいじなの?

「耳にはね、三半規管ってものがあってね、そこで平衡感覚を保ってるの。それを片方だけ失うと、こう、カイみたいになるのよ」

カイってなに?

「トリー、みみ2こあるから、かたほういる?」

「澪ちゃん、トリー理解してないよ」

「まぁいいわよ、初めから理解してもらおうなんて思ってもいないからね」

「さすがにトリーが可哀想じゃない?」

「いいのよ、トリーにもアンにもそんな概念ないもの」


「あーあ。まさか、耳片方でこんなことになるとは思ってなかった」

キノコがおきた。

「私も、想定外だったわ……別に、そんな耳なんて引きちぎらなくてもよかったのに。食べ物なんて、盗めばいくらでもあるわよ」

「俺は食糧だぞ。食べられなくてどうする」

「カイくん、もう、僕たち食べられる運命から逃れることができたんだよ!」

「……むぎ、お前、なんのために生きてる?」

「なんのためにって言われたって、僕は、このまま逃げ切って、将来は澪ちゃんのお婿さんになるの!!」

「……そうか」

「カイくんは違うの?澪ちゃんと結婚したくない?」

「そもそも俺らは食べられるために生まれてきたんだ」


「……食べられなかったら、俺はなんのために生きてるんだ?」


「そんなこと言っちゃダメだよ!!せっかく逃げてきたのに」


「澪さん、むぎ、俺を食べる気がないなら、俺を置いてけ」


「ダメだよ!!僕はみんな一緒がいい!!」

「むぎもそう言ってるわ。そのうち気が変わるわよ」

「……かわんねぇよ」


ぐぅぅ……


トリーのおなかがないた。

「トリー、俺の耳でも食べるか?」

「いらない!ヒトはたべちゃだめなの!!」

「真面目だなぁ……おい、2人してそんな目で見るなよ。冗談だって」

「あんたの場合、一度やってるから冗談に聞こえないのよ」


「カイも酔いが冷めたようだし、そろそろ、出発するわよ。トリー、アン、走るよ」

「うぇ……また酔うやつじゃん……」

やった!!もっとトリーたくさんはしりたい!!




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これからは人肉時代 あヤッピ—— @aaaaaaayappie

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