嗚呼! お恥ずかしい!

崔 梨遙(再)

1話完結:2000字

 あれは、30代の前半のこと。もう十数年前のことになるのかぁ……。



 僕は女友達が少ない。友達の一線を飛び越えて、深い関係になってしまうことが多いからだ(浮気はしなかった)。だが、女友達がいないわけではなかった。それは或る長期休暇、9連休の初日のことだった。僕は女友達の素子に呼び出された。


 実は、素子は僕の元カノだった。4つ年上だったが、かわいくて若々しくて、僕よりも若く見られた。僕の好みのタイプだった。素子と別れる時、


「別れても友達でいようね!」


と言われたのだ。だから友達としての付き合いをしていた。その素子に何故呼ばれたか? 素子の東京の友人が大阪に遊びに来たからだ。素子の友人の名は沙耶、思い出した、その時、素子と沙耶は37歳だったから、僕は33歳だった(と思う)。僕は沙耶を紹介された。


 沙耶を一目見た時、僕は心臓が口から飛び出しそうになった。驚いたのだ。沙耶が美し過ぎて。芸能人かと思ったら、元モデルだった。身長は170センチ近く、スタイルも抜群だった。素子がかわいい系とするなら沙耶はキレイ系。ちなみに素子の身長は158センチだった。僕は芸能人と出会った時くらいに喜び、興奮し、緊張した。その時、素子には新しい彼氏がいたが、沙耶には恋人がいないということだった。ちなみに、その時は僕も決まった恋人はいなかった。


「今日はどないしたん? なんで僕を呼んだん?」

「沙耶が東京から遊びに来たから、3日間くらい大阪を案内するねん」

「案内したったらええやん」

「うん、案内する、崔君も付き合ってや」

「なんで僕も一緒に案内するん?」

「奢って-!」

「なんや、僕は財布か」

「アカンの? 嫌なん?」

「いや、ええよ。素子の頼みやからなぁ」


 3泊4日、僕は素子と沙耶と行動を共にした。夜は違う。沙耶と素子は素子のマンションに泊まった。僕は自分のマンションに帰って朝に合流していた。


 まあ、なんとか大阪を一通り案内できたかな? というところで、沙耶が東京に帰る時が訪れた。僕は名残惜しかった。もっと沙耶と一緒にいたい。そもそもなんで沙耶が東京に住んでいたのか? 旦那の転勤で東京へ行ったらしい。ところが、そこで離婚。離婚したが大阪に帰らず、東京に住み続けているとのこと。残念だった。大阪在住ならまた会うことも簡単だっただろう。


 ところが、素子がナイスな提案をした。


「連休はまだ半分あるんやから、今度は沙耶に崔君が東京を案内してもらったら?」

「あ、私はOKだよ」

「東京か……遠いな(正直、面倒臭い)」

「ところで崔君、沙耶の胸ばかり見てるやろ?」

「あ、気付いてた?」

「気付くわ、思いっきり見てたやんか」

「いやぁ、何カップかなぁと思って」

「よくそんなこと正直に聞けるなぁ、沙耶はGカップやで」

「素子、言わないでよ、恥ずかしい」


 僕はFの女性までは経験があったが、Gは見たことの無い景色だった。『G』、この一言で決まった。


「僕、東京へ行くわ!」



「思ったよりも遅い時間になったね」

「僕、どこか泊まる所を探さないと」

「なんで? 私のマンションに来たらいいじゃん」

「えー! ええの?」

「実は、素子の元彼だから崔君に興味があったの」



 沙耶との体の相性は良かった。4日間、僕達は東京見物に行かずに、ほとんど沙耶のマンションで抱き合って過ごした。Gの世界は、僕が今までに見たことの無い景色だった。そして、僕は大満足で大阪に帰った。


 “次の連休、また会おう!”


と思っていたら、1ヶ月後にメールが来た。


 “婚約しました!”


相手はベンチャー企業の社長らしい。“あらら、美人はセレブと結婚するのね”


 結局、僕はGカップを追いかけて東京まで行っただけだった。アホな男だ。僕は沙耶との結婚も考えていたのだ。僕は寂しくなって、風俗店に行き、馴染みの女性に慰めてもらった。その女性は、“崔君がかわいそうだから”と言って、店外デートもしてくれた。それでようやく僕は癒やされた。



 そして次の長期休暇の初日の昼、僕はまた素子に呼ばれた。待ち合わせ場所へ行くと、素子はまた美しい女友達と一緒にいた。東北の友人が大阪に遊びに来たらしい。名前は梨華、素子とも沙耶とも違う魅力があった。身長は素子と沙耶の間くらい。163~165くらいだろう。とにかくスタイルがいい!


 僕はまた財布となり、素子と梨華と共に大阪中を巡った。僕の悪い癖で、僕は梨華の胸ばかり見ていた。


 3泊4日が終わり、梨華とのお別れの時が来た。そこで再び素子のナイスな提案。


「今度は崔君が梨華に東北を案内してもらったら?」

「私はOKだよ」

「うーん、どうしようかなぁ(東北かぁ、遠いなぁ)」


 その時、素子が僕の耳元で囁いた。


「崔君、梨華はHカップやで!」

「行きます!」


 さあ、僕はまた初めての景色を見ることが出来るのか?

 っていうか、同じことを繰り返す、懲りない僕だった。

 GやHを追いかけて行く、僕はそういうアホな男なのです。



 ちなみに素子はBカップかCカップ(ブラによる)だった。







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嗚呼! お恥ずかしい! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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