色、におい

白川津 中々

◾️

暑い夏だった。



プールの帰り、家にいてもやる事がないなと思い神社へ寄って石階段に座っていると薮から物音。なんだろうとひそんで見てみると、同級生の吉永が下着をおろし、ちょろちょろと小便を流していたのだった。


俺は息を呑み、気づかれないように吉永を見続けた。露わになった白い足。ちらりと覗く、黒く、吸い込まれそうな陰毛。鼓動が早まり、声が漏れそうで、熱くたぎる下腹部が痛かった。




吉永、吉永!



俺は彼女の名前を心の中で叫んだ。用を足し、下着とショートパンツを上げて去っていく吉永を陰から見送り、震えていた。小さな川が流れ、草木はざわざわとそよぐ。暑さも忘れて俺は、ずっとその場に隠れ、足元に川の流れが届くのを待っていた。


暑い夏、吉永の香りが鼻に届いた。頭の中には鮮明に、彼女の色が残っていた。

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