雪中松柏
ガエイ
雪中松柏
村のはずれの林の中に、ぽつりと建った
そこには若い人形職人が住んでいた。名前を
人付き合いの苦手な
ある日の夜、
とんとんとん、とんとんとん。
誰だ誰だと
全てに愛されるようなその出で立ちに、人付き合いの苦手な
「わたくしの名は『お
こんな美人は見たことがない。
日頃、
しかし、そんな粗末な物をお雪には食べさせられない。白米で炊いた飯と自ら漬けた大根に、大枚はたいて買った塩漬け
「あらあら、こんなに頂いてしまって。
なんとも優しき方なのだろうか、
うとりうとりと
翌朝、
「大変お世話になりました」
何と
それからというもの、人形職人であった
元は
しかし、こんなものはお雪ではない。
お雪の人形を作り出してからというもの、他の人形に興味の失せた
最初こそ
そんな生活も一年あれば慣れたものだったが、
気がつけば古家の中はお雪の人形で一杯になっていた。
大事なお雪を捨てるわけにはいかないが、これでは新たなお雪が作れない。
考えに考え抜いた
「ぉゅきぃ……ぉゅきぃ……」
村に行き久しぶりに声を出した
これではお雪に会った時に合わせる顔がない。
お雪の人形を配った
最初こそ美しい人形を喜んでいた村人達であったが、
お雪の人形から作った墨は、不思議なことに雪とは
数十年が過ぎた頃、
知らぬ者が見れば薄気味悪い姿であったが、村人たちは何十年もお雪の姿を追いかける
ある時、
再び
あぁ、
お雪の人形が美しく
あぁ、お雪、やっと会えたな。
雪中松柏 ガエイ @GAEI
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