第6話 三度に渡る告白
当然、言葉の意味は理解している。ただ、余りにも突然の告白だった為、
その間、少し
僕と避雷針の、一度きりのはずだった
今思えば、その日も今日と同じだった。共働きの両親が共に仕事に行った後、実家で一人何をする訳でも無く、ただ布団が
お昼時、目が覚めてきた頃のことだった。突然、大きな雷の音がした。光が壁を通過したかの様に、部屋が酷く明るくなったことを覚えている。途端に天気が悪くなり、近くに雷でも落ちたのかと思い、慌てて外に出てみる。しかしそこには、視界の半分を支配して、
夢の様な地上の輝きを見て、私は
そうしていると、不思議なものが山から見えた。それは、山から昇る雷の
「……で、『あの時が初めてじゃない』って、どういう意味なの?」
昔のことを思い返したことで、頭が少し整理されると共に、冷やすことが出来た。やっと、彼の話を聞く
「うーん……。どこから話すべきかな。……まあ、思い出話も兼ねて、初めて会った頃からにしようか」
彼はそう言って、語り始めた。
「まあ、僕はずっと退屈していたんだ。先祖から残る、避雷針としての役目を全うしながらも、既に村人たちは誰も僕のことなんて覚えていなかった様だし」
「……」
「……それに、さ、感謝もされないしね」
哀しさを言葉に含ませて、ぽつりと彼はそう呟いた。居心地の悪さを感じたが、彼に掛ける適切な言葉は見当たらなかった。
「まあ、それはいいんだけど。……で、いつも通り雷が落ちた。ただ、晴れていたから、まあ不思議ではあったよ。そこまでは、いつも通りだったんだけど……」
「で、僕が来たってことか」
「そう。とても驚いたよ。山の
「まあ、そうだよね笑」
「何百年、何千年ぶりのことだったね。……それで、その時に、気がついたんだよ。まあ正確には、思い出したんだ」
「何を?」
「……ああ、そういや、僕は人間だったって」
「なんだか、そんな気がしていたよ。すごく、懐かしい感覚があったし」
「そう! その感覚……僕もしたんだ。ああ、僕は君に忘れられていなかったんだって、僕の
「
「そう。多分……何百年、何千年前のこと」
「いや、
「そうだね、まあ、そうなんだけど……」
彼は、ばつが悪そうに口をもごもごさせていた。何を言うつもなのか。緊張は汗に変わり、ゆっくりと線状に体を冷やし始めていた。
「多分だけど、君は生まれ変わりだよ」
「……生まれ変わり?」
あまりにも唐突な二度目の告白だった。ただ、それはとても現実離れした話だった為、彼が本気で言っているのか、ただの憶測なのか、それとも
「今まで、何度だって村に雷は落ちた。けれど、気が付いたのは君だけだ」
「そうかもしれないけど……」
「それに、薄っすらとした記憶なんだけど……」
「……うん」
次はどんな告白が待っているのか、恐ろしくも──いや、
「……僕ら、昔は双子だったみたいなんだよね」
「……は?」
三度目の告白によると、僕らは
避雷針が砕けた頃のこと 路地表 @mikan_5664
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