記録5:地下を掘り進めた先には
<概要>
ゲーム実況を見ていたはずが、いつの間にかダンジョンにいた
<登場人物>
自分自身、主人公、ゲーム実況者、姉妹
中年男性、料理人、ホビーショップ店員
<場所>
地中に存在するダンジョン、砂浜、サブカル的な店
<区分>
良夢/ファンタジー、現代ドラマ
<タグ>
ダンジョン、ゲーム実況、レトロゲーム、オタク
<要注意事項>
特になし
*
<内容>
主役となるのは主に自分自身。夢の中の主人公と完全に同化している状態。主人公である幸崎が、ゲームの実況動画を鑑賞していると思われる状況から開始する。このゲーム実況を観ているデバイスや場所については不明。例えるならば〝画面そのもの〟に憑依している状態に近い。
実況されているゲームは〝3Dダンジョン系RPG〟と呼ばれるジャンルのもので、具体的にはウィザードリィなどが当てはまる。しかしWIZのどのシリーズとも異なっていることから、それらを模したオリジナルのゲームではないかと推察される。夢の中でもゲームのタイトルなどには言及されない。
主人公である幸崎はゲームの実況を熱心に視聴しつづけており、この状態は体感的に数時間は続いている。ゲーム実況者の声に聞き覚えはなく、モデルとなる人物が存在するのか等は不明。この夢を数度に渡って見ることがあるが、いずれの場合もゲームの画面や進行内容は異なっている。
<事例1>
主人公(幸崎)がゲームの実況動画を視聴している際に、ゲーム内のパーティが全滅するなどの、予期せぬトラブルが発生する。実況者が〝それ〟に対応しようと試行錯誤を重ねているあたりで異変が起こり、幸崎自身が謎のダンジョンの中へと転移してしまう。ダンジョンの内部は土に覆われており、大人一人分の空間を除いて完全に生き埋めとなった状態。主人公は持ち物などは持っていないはずなのだが、不明な方法によって土を掘ることが可能。自身の服装などに関する記憶はない。
多くの場合において、土を掘り進めると地下神殿のような、青い篝火の焚かれた空間へと脱出することになる。そこには四方へ続く通路が伸びており、必ず正面の通路へと向かう。その通路には両開きの鉄扉があるが、問題なく開くことが可能。この際に重さなどを感じることはなく、まさしくゲームのごとく簡単に開く。
扉の先には土の下り階段があり、迷うことなく真っ直ぐに進む。すると土壁の行き止まりにて立ち往生してしまうため、今度は必ず左側の壁を掘り進めることになる。この壁を掘っている際には視界がオレンジ色になっていることが多く、大抵の場合は〝暑い〟と不快感を覚える。また、主人公はこの時点において〝この先に何があるのか〟をすでに認識している。
左の壁を掘り進めた先には別の丁通路と繋がっており、迷わず右へと進行する。そこには半楕円形状の出口があり、ここで強烈な眩しさを感じる。この出口を抜けると〝南国〟を思わせるビーチがあり、左手側に横一列に並ぶ露店と複数の人物の姿を確認することができる。この人物らは海水浴を行なっている様子はなく、なんらかの商売のために集まっているらしいことが周囲の人物から語られる。
この後、いずれかの人物と雑談を行なうのだが、皆は一様に笑顔であり、友好的に接してくれる。なお、何の言語で会話を行なったのか等は不明。大半の場合はトロピカルドリンクを左手に持った姉妹であることが多く、二人は金髪であり、額を丸出しにするような、ピッチリとした髪形をしている。彼女らには相当な年齢差や身長差があるものの、顔の造りはまったく同様である。この事に気づいた際、主人公は若干の恐怖心を覚える。姉妹以外ではアロハシャツを着た天然パーマの中年男性と会話することが多く、彼が応対してくれた際には主人公は安心感を覚える。
このビーチに滞在したあと、主人公は砂浜を前進し、ここへ来た際と同様の入口から再びダンジョン内へと入る。内部は土壁ではあるものの、看板や掲示物、立て札などが設置されており、どこか博物館やアミューズメント施設のような雰囲気を感じさせる。書かれている文字は日本語であると思われるが、内容は不明。この場所には上階または下階へと続く階段があり、いずれかを選択することによって夢の内容が変化する。それらを事例2、および事例3として書き記す。
<事例2>
主人公(幸崎)が階段の下階を選択した場合。この夢を見た場合、大半はこちらを選択する可能性が高い。階段には防水加工の施されたペンキのようなものが塗られており、これまでの土で出来たものとは違い、現実世界に実在する階段に近い。
階段を下りた先には個人経営のラーメン屋のような、背もたれのない椅子が横一列に並んでいる。椅子の前にはカウンターがあり、料理人姿の店員らしき男性が立っている。主人公は彼への苦手意識を抱いているらしく、会話等の接触を試みたことはない。また、常に満席であり、見知らぬ人物らが何らかの食事を行なっている。
椅子の反対側にはいわゆるアーケードゲームや自動販売機などが横一列に並んでいる。これらの設備は階段を下りた段階では確認できず、カウンター奥の店員から目を逸らした段階で出現する。ここで主人公は景品を獲得できるプライズゲームをプレイするものの、攻略はギリギリで失敗してしまう。また、この際に誰かから親しげに話しかけられることがあるのだが、それが誰であるのかは不明。しかしながら主人公である幸崎は、この話しかけてきた人物を〝知り合い〟であると認識する。
次に主人公は自動販売機へと向かう。自動販売機では1.5リットルのペットボトル飲料のみが売られており、角ばったボトルに入った、さらに巨大なサイズのものが販売されていることもある。これらのボトルにはいずれもグレープ味のような、紫色をした液体で満たされている。主人公はこれらの飲料を買うことに執心するのだが、いくらコインを入れても認識されず、そのまま戻ってきてしまう。
飲料を買うことを諦めた主人公は前進し、この場所からの脱出を計る。また、この際には視界の左右にパチンコ台のような遊戯台が並んでおり、こちらも先ほどのカウンターと同様にすべての席が埋まっている。大抵の場合、主人公は強い不快感を覚え、ここで夢から目覚めてしまう。
特に渇きを覚えていないにもかかわらず、目覚めた直後の幸崎自身の感情は、「あの飲み物を買いたかったな」といったものであることが多い。
<事例3>
主人公(幸崎)が階段の上階を選択した場合。こちらの階段も下階と同様ではあるのだが、階段や左右の壁には何らかのポスターが大量に貼られている。このポスターには太い筆で墨を用いて見慣れない文字を書き殴ったようなものであり、主人公は不快感や恐怖心、不気味な感覚などを呼び起こされる。
階段の先はトレーディングカードやフィギュアやプラモデル等の売られたオタク向けのホビーショップとなっており、迷路のように区切られた棚にそれらの物品が並んでいる。この場所は空調が効いており、非常に快適な空間であると認識される。
階段の正面から左側にかけては長いガラス製のケースが設置され、それがカウンターを兼ねているらしく奥には店員と思しきエプロン姿の男性が立っている。この男性は常に仏頂面であるものの、主人公は彼の性格を理解しているかの如く〝良い人〟であると認識する。なお、この人物が誰であるのかは不明。
カウンターに沿って店の奥まで移動すると白いテーブルの並ぶプレイングルームがあり、そこでは客と思しき人物らがプラモデルの組み立てやカードゲームに興じている。ここで〝知り合い〟であると認識される人物との会話を行なうことがあり、親しげな様子で雑談を行なう。会話の内容は不明であるが、主人公は彼から何らかの助言を受けたらしく、この瞬間から急激に「家に帰らなければ」という感情が湧き上がる。ただし、この感情は危機からくるものではなく、「早く遊びたい」といったものである。そして〝家に帰る〟ことを決意した時点で入口階段の右手側にはガラス製の出入り口が出現しており、ここから店外へと脱出する。また、この時点で「これは夢だ」と認識できる場合が多く、ここで目が覚めることもある。
外はアスファルトの道路に車が走行し、他の店舗や通行人らの姿も見える、標準的な電気街となっている。時間帯は夜らしく、周囲の店舗や視界に入るビルなどには人工的な光が灯っている。この電気街が具体的に〝どこ〟であるのかは不明だが、主人公は家までの帰り道を理解しているようであり、車の走行する正面の道路へと歩みを進める。すでに「これは夢だ」と気づいている――もしくは〝気づきかけている〟ことも相まって、ここで確実に夢から覚める。
この夢を見た直後は頭が冴え渡っており、起床後の仕事を素早くこなすことが出来る傾向にある。そのためか幸崎本人は〝良い夢〟を見たと認識している。
*
<総評>
数ある夢の中でも展開や場面が頻繁に変化するタイプ。しかしながら夢の中に居る間は「ゲーム実況を観ていた」という記憶が常にあることから、それが何らかの起因となっているのではないかと考えられる。
幸崎自身が最新のゲームに触れられない環境であることも相まって、ゲームの実況動画を観る機会は多い。どちらかというと登録者数の多い有名どころよりも、登録者が数人から数十人程度の無名の実況者の動画を多く観ている。ハイテンションで叫びまくるものよりも、コツコツと作業を進めるタイプのゲームが好み。
また、幸崎はあまりゲームセンターなどの〝プレイの度にお金を払う〟タイプのゲームは行なわない。自身の〝運〟が皆無であることを理解しているため、パチンコなどのギャンブルにも手を出さない。
大型のペットボトル用の自動販売機は最近では見かけなくなったが、親に隠れて飲めるということもあり、中学生の頃には割高なコーラやファンタなどをよく購入していた。しかし当時の幸崎はファンタオレンジの方を好んで飲んでいた記憶がある。
トレーディングカードゲームは学生の頃によく遊んでおり、親友らとショップで行なわれるトーナメントや公式の大会にも良く行っていた。丸一日をデッキの構築に費やすことも多く、今でも楽しかった思い出として飲み会での話題に上がる。
この夢は幸崎本人の趣味や好みに由来していると感じられる要素が多いのだが、所々に恐怖や不安を煽るものが混じっていることが気にかかる。しかし全体的にみると、これでも〝良い夢〟に分類されるだろう。
夢の記録 幸崎 亮 @ZakiTheLucky
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