記録4:謎のバイオな研究施設

<概要>

 廃病院もしくは廃棄された研究施設の内部を彷徨う


<登場人物>

 主人公(複数)、自分自身

 ゾンビもしくは人間の死体を元にしたと思われる実体


<場所>

 生物実験を行なっていると思われる研究施設


<区分>

 悪夢/ホラー、ミステリ、現代ドラマ


<タグ>

 廃墟、病院、研究所、人体実験

 クリーチャー、ゾンビ、標本、内臓


<要注意事項>

 全編に渡ってホラーやグロテスクな表現が含まれます


             *


<内容>

 主役となるのは主に自分自身。もしくは主人公となる人物が登場することもある。自分自身が主人公となる場合は武装などをしておらず、完全に丸腰の状態。別の主人公が存在する場合は銃器などの武装を持っていることがあるが、実際にクリーチャーへ向けて発砲を行なった記憶は無い。


 主人公がいずれである場合も〝敵を避けて逃げ回る〟という要素が強く、常に恐怖が付きまとう。クリーチャーは視覚的にも非常にグロテスクであり、これらが視界に入ってしまうことを何よりも忌避している。反対に、攻撃を受けるといった暴力的な部分に関する恐怖心は少なく、実際に負傷してしまったという記憶も無い。




<事例1>

 主人公が幸崎自身である場合。なんらかの廃病院もしくは放棄されたと思しき研究施設へと迷い込んでしまう。どのような経緯で現在の状況へ陥ったのかに関する記憶はなく、たとえば〝脱出を目指す〟などといった、具体的な目的なども不明。ただひたすらに、この施設内を徘徊し続けてしまう。


 施設の内部にはコンクリート片や木片、ガラス片などが散乱しており、電灯などは点いていない。迷い込んだ広間の右手側、バルコニーのような巨大な窓からは外の様子が見えており、時間帯は夜。ここに立ち入った際には〝病院〟であるという認識を得るが、まれに〝植物園〟であると認識している場合もある。いずれの場合でも施設の内部にはゾンビと思われる、人型の実体が徘徊している。これらのゾンビは呻き声などを上げることはない。前述のガラス片などを踏みつけた際にも無音であり、完全な無音状態となっている。しかしながら恐怖感と焦燥感を煽るようなBGMが、頭の中に直接響くことがある。具体的にどのような音色だったのかは不明。


 ゾンビはいわゆる創作物に登場する〝腐った死体〟というよりも、手術中に開腹された状態で歩き回っているという状態に近い。そのため内臓が露出した状態で、異様なほどに鮮明な映像として記憶に残る。この内臓は腹部のみならず腕や頭部などにも露出しており、主人公はこれらを視界に入れてしまうことを極端に恐れている。具体的にどういった臓器であるのかは不明だが、主に小腸や肺などに酷似している。


 施設の内部には廊下や扉などがあり、基本的に廊下にはゾンビは徘徊していない。しかしながら扉は〝学校の教室の引き戸〟のようなガラス窓が付いており、向こう側の様子が見えてしまう。室内には人間の骨格標本や臓器のサンプル、人体模型などが並んでおり、主人公はこれらを〝本物〟であると認識し、視界に入れることを恐怖している。これらの通路や標本が置かれている部屋は、学校のいわゆる〝旧校舎〟のような状態であり、さきほどまでの先進的な研究所跡に比べてレトロな不気味さが漂っている。なかでも〝特に忌避している部屋〟が一つあるのだが、それが具体的に〝なに〟であるのかは記憶に残っていない。また、これらの部屋は常に進行方向の右側にあり、主人公が方向転換をした際には部屋の配置そのものが移動する。研究所および旧校舎の双方とも、扉の左右もしくは上部にネームプレートが設置されている。しかし言語は理解できるものの、それらの内容を読むことは出来ない。


 この夢を見始めた当初は逃げ回るしかなかったのだが、最近では「これは夢だ」と気づくことも多く、部屋を視界に入れずに廊下を通り過ぎてしまうことも可能となっている。その際にも「部屋の中には怖いものがある」という恐怖心には苛まれており、とにかく一直線に出口を目指す。具体的な〝出口〟が何であるのかは不明。また、これらが夢であることに気づいた場合、高確率で夢から目覚める。



<事例2>

 主人公が幸崎ではない場合。主人公は車に乗っており、なんらかの研究施設への任務へ向かうことになる。この車両は左ハンドルであり、軍用車であると思しき形状をしている。しかしながらいずれの場合も走行している様子はなく、主人公は停車した状態の運転席で、ラジオらしき音声を聞いている。この音声は英語を大げさな日本語に吹き替えたものだと認識される。放送されている内容は不明。この車内に同乗者が居る場合もあるが、その人物と主人公が共に行動することはない。


 目的地に着いた主人公は車を降り、車両後部の扉を開いて重火器を取り出す。しかし、これらを実際に装備することはなく、ただ取り出すのみで場面が終わる。この際、同乗者と親しげな会話を行なうのだが、具体的な内容は記憶していない。


 その後、主人公は研究施設へと侵入するのだが――ここで主人公がいつの間にか、〝先ほどの同乗者〟へと切り替わっている。この人物は武装しており、銃を身構えているものの、彼の前に敵対的な存在が姿を現すことはない。常にラジオのような音声が左耳のみに響いており、その音声に従って行動しているように見受けられる。この際には幸崎の意識は〝同乗者〟と同化しているようで、一人称視点にて進行する。


 しかし、またしても主人公が切り替わり、今度は海外の学生と思しき若者が登場する。頭は金髪、ラフでカジュアルな容姿をしており、大抵は男性であるが、まれに女性が登場することもある。この主人公は一人で夜の街中に居り、何かの目的で同じ地点を往復している。また、この場面では〝コンクリート製の細い電柱〟を中心として行動する。この街にはネオンで形成された看板を掲げた店舗が多数あり、先述の電柱を囲うように配置されている。店舗は主にクリーニング屋やダイナーといった、海外にありがちな店舗が並んでいる。この主人公は電柱の周囲を歩き回るのみで、なんらかの危機に見舞われることもない。ここでは三人称の視点となっており、主人公が移動する際も、常に視界の左端に電柱が映り込んでいる。ここでは敵対的な実体を含む、他の登場人物などは登場せず、主人公は同じ場所を歩き回るのみで終わる。


 再度主人公が切り替わり、研究施設の内部の様子へと移り変わる。この主人公は最初に車を降りた人物と同一だとされているが、これらの映像を見ている幸崎の意識は〝明らかに別人〟であると認識している。この主人公はアサルトライフルのような銃を構えた状態で〝大窓のあるバルコニー〟の近辺を歩き回っているのだが、ゾンビなどの姿はない。また、彼の様子を見ている幸崎自身は「今なら銃があるから大丈夫。あのゾンビを倒せる」などと、好戦的な感情を抱いている。しかし意に反してゾンビの類は現れず、やや拍子抜けしたような感情と共に自然と夢から目覚めてしまう。


 この主人公は基本的にバルコニー付近から移動しないため、事例1の旧校舎のような、見るだけで恐ろしくなってしまう標本などが存在しているのか等は一切不明。



             *



<総評>

 文字に書き起こすとあまり伝わらないのだが、夢を見ている本人としては、この夢への恐怖心はかなり強く、見たくない悪夢の一つとなっている。


 ゾンビもさることながら、とにかく登場する人体標本が生々しくリアルであり、視覚的な恐怖が強い。不気味に動いたり明確な敵意を持って襲ってくるわけではないにもかかわらず、これでもかと恐怖心を煽ってくる。例えるならば、気色の悪い害虫がそこら中にとまっている感覚に近い。下手に触ると一斉に飛びまわる地獄絵図が展開されてしまうので、とにかく〝視界に入れないように通り過ぎる〟しかない。


 また、主人公が幸崎自身という〝弱い存在〟である場合にはゾンビだらけであるのに対し、主人公が武装した〝強い存在〟である場合には一切の敵対存在が登場しない。この一連の夢には必ず〝一本の電柱を囲うネオン街〟が登場するのだが、あれが何を表しているのかについても一切不明。また、幸崎自身は創作物におけるゾンビをあまり〝怖い〟タイプのクリーチャーだとは思っていない。

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