記録3:海辺に連なる貨物船

<概要>

 海岸線に連なる謎の貨物船のコンテナ内部および海岸での体験


<登場人物>

 主人公(複数)、自分自身、見知らぬ他人(いわゆるモブ)

 お姉さん


<場所>

 砂浜と近海、貨物船のコンテナ


<区分>

 中立/ファンタジー、現代ドラマ


<タグ>

 海、船、探索、ダンジョン

 砂浜、狭所、パイプ


<要注意事項>

 特になし


             *


<内容>

 主役となるのは主に自分自身として認識している夢の中の主人公。完全に同化していることもあれば、第三者として俯瞰していることもあり。

 謎の海岸線に縦に連結されている、コンテナを搭載した貨物船群が主な舞台となる。これらの様子は上空から俯瞰する形にて確認できる。この際の視点者が何者であるのかは不明。海岸ではあるが、波の音や潮の香りといったものは感じない。

 陸地側には海水浴が可能な砂浜が存在し、複数の人物が存在していることもある。これらの人物らに対する面識はない。砂浜の向こうには剥き出しの岩場があり、その上には標準的な古民家が横並びに建っている。これらの建造物へ侵入した記憶もあるが、それが明確に今回の夢と連続しているのか等は不明。




<事例1>

 主人公が貨物船に乗り込み、コンテナ内部を移動する。この際にはいわゆる〝三人称視点〟となっており、主人公の後ろ姿を確認できることが多い。いずれも男性・黒髪・短髪であり、白いシャツと黒いズボンを着用している。顔を確認できたことはない。何かを話していることもあるが、声に聞き覚えはなく、内容も不明。

 コンテナの内部は基本的に赤や橙色といった暖色系であり、コンテナに付いた窓から陽射しが差し込んでいることもある。コンテナ内部に物品等はなく、次のコンテナへと繋がる円形のパイプが接続されている。このパイプは上空から遠景を見た際には確認できない。また、主人公がコンテナの内部に居る際は、いずれも幸崎自身が〝暑い〟と感じている。しかしながら閉所による息苦しさ等は特に感じない。


 多くの場合、主人公はコンテナに接続されたパイプへと侵入し、次のコンテナへと向かう。このパイプは成人男性が無理なく通過できる程度の太さがある。

 パイプの先にもコンテナがあり、基本的に以前のコンテナ内部よりも広い。さらに次のコンテナへと繋がるパイプも複数に増えている。また、この際に主人公の数が増加することもある。増加した主人公には女性も含まれる場合がある。その際にも最初の主人公と同様に後ろ姿を確認することが可能。服装は男性と同様であり、長い金髪をポニーテールに結っている。顔は確認できず、音声を発することがあるがいずれも聞き取ることができない。しかしながら日本語であることは認識している。

 これらの主人公はそれぞれが別のパイプへと侵入し、次のコンテナ内部へと向かう。また、その際にも主人公が増加することがある。増加した主人公は次のコンテナへ向かう際に、やはり別のコンテナを選択する。


 視点は基本的には一人の主人公を追従する形で移動するが、主人公がコンテナ内部でパイプを発見できず、行き詰った際には別の主人公へと視点が移動する。また、パイプが鍵のようなもので封鎖されていることもあり、別の主人公の行動によって解錠され、通過可能となることもある。また、以前のコンテナへと後退することはなく、主人公が以前のパイプを振り返ることもない。


 こうして主人公が行き詰っては視点が変わり、閉ざされた鍵を解除してゆくことが目的だと思われるのだが、こうしたプロセスを繰り返す際にパズルを解いている感覚になり、次第に思考が活性化されることによって夢から目覚めてしまう。このため、このコンテナ群の先に何があるのか、また主人公らの目的などは一切不明。



<事例2>

 主人公が海岸に連なる貨物船の上空を飛行し、貨物船に搭載されたコンテナの上を渡り歩いてゆく。しかしながら実際に人物が上空を飛行しているのか、視点だけが移動しているのかなどは不明。主人公は事例1と同様に第三者が現れる他、幸崎自身が主人公となっていることもある。いずれの際にもコンテナ上を渡り歩く際の疲労を強く感じる。また、屋外ではあるが風や気温、音や匂いなどを感じることはない。


 コンテナは基本的に一つが一列に連なっている状態ではあるのだが、高低差がつけられていることもある。いずれのコンテナもぴったりと連結されており、隙間に落ちるといった恐怖は感じない。しかしながらどこまでコンテナ上を進んだとしても終着点らしきものはなく、疲労ばかりが蓄積する。それにもかかわらず、主人公および幸崎が進行を停止することはない。


 コンテナ上に居る際には視界はコンテナの上面のみが映し出されており、船や海、砂浜といったものは視界に入らない。しかしながら陸地に存在する家屋は確認できることもあり、それらはいずれの場合も進行方向の右手側に建ち並んでいる。何らかの要因により、この家屋の玄関扉前へと移動してしまう場合もある。その際にも玄関扉が開くことはなく、住民などと遭遇することもない。扉は標準的な開き戸であるが、開放を試みたことはなく、施錠されているのか等は不明。玄関前の地面はいずれも剥き出し状態の、ザラザラとしたコンクリートとなっている。


 多くの場合はコンテナの上面にて疲労と退屈に耐えかねるか、玄関先にて立ち往生する場面にて夢の内容は終了する。この際に覚醒する機会は少なく、別の夢へと移動する場合が多い。どのような夢へと派生しているのかといった確証は無い。



<事例3>

 主人公が日陰となった状態の砂浜に居り、何らかの目的のために行動している。空からの遠景では砂浜の上空には何も存在していなかったにもかかわらず、高速道路の高架下のような日陰状態となっている。主人公は幸崎本人であることも多いが、いずれの場合も少年となっている。この少年は半ズボンを着用しているが、それ以外の着衣や髪型、顔などは不明。誰かと会話することもあるが、会話内容は不明。


 主人公は砂浜にて何かを探しているらしく、常に砂の上を見つめている。時おり海へと視線を向けることもあり、その際には連結された貨物船群が確認できる。この貨物船によって視界が遮断されていることで、水平線を確認することはできない。


 主人公が何かを探している際、砂浜には階段状の段差が現れる場合がある。この段差には拳大ほどの複数の穴が開いており、主人公はそれらの内部を几帳面に確認する。ここでなんらかの物品を発見したこともあるが、それが何であったのかは不明。この場合、主人公は物品を宝物として保持するが、後に確実に失うことになる。


 この探し物を行なっている際に、他人と遭遇することもある。多くの場合は女性であり、年上のお姉さんとして認識している。このお姉さんは熱心な話相手になってくれている様子だが、いずれの場合も解決への阻害となっているらしく、あまり好ましい存在だとは認識していない。また、会話の内容は不明。お姉さんが登場した際には共に探し物を行なうこともあるが、この際に物品を発見した場合、手に入れる直前に物品とお姉さんが消滅してしまう。その後、主人公は姿を消したお姉さんを探しに向かうのだが、このお姉さんが物品を持ち去ったのか等は不明。


 いずれの場合も主人公は物品を持ち帰ることはできず、ひたすらに砂浜を彷徨うこととなる。それにもかかわらず探索を諦めたり、不満を口にすることはない。しかしながら不快な感情は蓄積されており、次第に精神的な疲労によって夢から覚醒することとなる。このため、他の事例と異なり基本的には〝悪夢〟として認識される。




             *



<総評>

 共通する項目は、いずれも〝海〟に関するものではあるが、関連性は不明。思い当たることがあるとすれば離島に住んでいた祖母の家の近くに海岸があり、幼少時には砂浜を走り回ったり、一人で自由に泳ぎまわっていたことか。また、いとこに当たる〝お姉ちゃん〟に遊んでもらった経験もあるが、いずれも楽しい思い出である。


 どの事例にも登場するコンテナであるが、コンテナに関する経験は一切なく、実際のコンテナを観察したこともない。したがってコンテナに関するトラウマ等も存在しない。〝事例1〟の視点等がゲームじみていることから、何らかのゲームが元になっていることも考えられるが、思い当たる作品はない。こういった雰囲気や登場人物はプレイステーション初期の頃の、ソニー製のゲームに似てなくもないのだが。改めて書き出してみると、〝事例3〟においてコンテナ群が主人公の視界を遮っていることが引っかかる。なんらかの抑圧や妨害のメタファとなっているのだろうか。


 これまでの〝記録1〟や〝記録2〟と比べ、悪夢的な要素は低い。しかしながら暑さや疲労を感じてしまうこともあり、起床後の気分は決して良いとは言いがたい。

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