記録2:謎の学術的な建造物

<概要>

 よくわからない建物に入ってしまう夢


<登場人物>

 自分自身、小学・中学・高校時代の知り合い

 見知らぬ他人(いわゆるモブ)、医者、司書


<場所>

 病院、大学、図書館、映画館と思われる建造物の内部


<区分>

 悪夢/ホラー、ミステリ


<タグ>

 学校、病院、子供、グロ、治療


<要注意事項>

 子供が悲惨な目に遭っていると思われる描写が登場いたします

 特に<事例2>は閲覧注意


             *


<内容>

 主役となるのは主に自分自身。夢の中の主人公と完全に同化している状態。大学の研究棟、病院、図書館と思われる建造物の中を彷徨い歩く。


 基本的に各階の役割は固定化されており、1階が大学の購買部、2階と3階が病院となっている。特に3階では見知らぬ子供が侵襲的な治療を行なわれており、通過する際には激しい恐怖や嫌悪感に見舞われる。4階は居住区またはホテルのような施設となっており、上品な服装をした受け付けが配備されている。5階には図書館があり、向かって右側のカウンターでは本も販売されている。6階は映画館もしくは小劇場のようになっており、無数の椅子が設置されている。しかしながらいずれの場合も上映は行なわれておらず、舞台上はもぬけの殻となっている。客席には知り合いが座っていることがあり、彼らと会話をすることがある。


 基本的には一種類のみの夢であり、どこの階に立ち寄るかといった内容のみが変化する。いずれの場合においても〝3階〟を強く忌避しており、場合によってはこの時点で「これは夢だ」と気づくことも。その際には直ちに夢から目覚めることに努め、この建造物というイメージからの、一刻も早い脱出を計る。




<事例1>

 1階が主な舞台。主人公(幸崎)の大学時代の購買部にて友人らとたわいのない会話をする。すでに交友関係のない、中学時代の友人らが登場することも。その際にも問題なく会話が成立している。多くの場合、友人らは妻帯者となっており、彼らの家族の話が話題の中心となる。しかしながら幸崎の友人は一人を除き、いずれも独身である。その他、アニメやゲームの内容といった会話が行われている他、「あいつは実はイイ奴だよな」といった、友人を褒める会話が行われることが多い。


 その後は〝この建造物〟を脱出し、飲食店にて飲み会を行なうことが多い。しかしながらこの夢を見始めた段階では、「3階には行きたくない」といった感情が多くを占めている。また、飲み会の最中にて「こいつとは既に縁が切れているはず」といった事実を思い出し、思考が活性化状態に入ることによって覚醒する。



<事例2>

 主人公(幸崎)が一人で建造物の階段部に居り、恐怖と嫌悪感の入り混じった感情に苛まれる。階段部は四角形の殺風景な踊り場であり、時おり医者やナース姿の人物が通り過ぎてゆく。照明は薄暗く、非常階段のようにやや緑色を帯びている。


 多くの場合、2階へ行くことに成功するが、稀に否応もなしに3階を歩いていることも。2階は清潔感のある病院の受け付けとなっており、空調も効いていて非常にリラックス出来る。ここに入った場合に、自身がなんらかの処置を受けることはない。


 しかし3階を歩いている場合、最悪の悪夢を見ることになる。主に進行方向の右手側に医療用のベッドが並んでおり、複数の子供らが残酷な医療を受けている。多くの場合において彼らの内臓が体外へと露出させられており、それらが点滴のように宙吊りになっている。医者やナースらは真剣に医療を行なっているようで、時おり正義感に満ちた、切羽詰った怒鳴り声が聞こえてくる。反対に子供らは悲鳴などの反応を示さず、ただただじっと、主観である私の方を見つめている。


 これは医療とは言うものの、どう見ても標本を作っているようにしか見えない。しかしながら、これは覚醒時においての考察であり、夢を見ている段階では「あれは残酷ではあるが、正しい医療行為だ」と認識している。とにかく嫌悪感が強く、この3階に入ってしまった際には床を見つめながら真っ直ぐに歩行を続けるに限る。床には四角形の黄色いタイルが貼られており、常に透明の液体で湿り気を帯びている。


 この〝3階〟を抜けたあと、なんらかの場所へと移動しているものと考えられるのだが、3階のトラウマとも言える印象が非常に強く、どのような夢へと繋がったのかに関しても一切不明。私自身が危害を受けるわけではないものの、とにかく〝見たくない悪夢〟の中でも1、2を争う不快感を持つ。



<事例3>

 主人公(幸崎)が、階段の踊り場にて佇んでいる。踊り場には小さな採光窓があり、日中であることが察せられる。この夢を見た時点で「3階に行かなくて済む」といった、軽い安堵を感じている。その後は4階の受け付けにてなんらかの手続きを終えた後、5階の図書館へと移動する。なお、この4階には知り合いが住んでいるとの情報を得ているが、いずれも出会えた試しはない。


 5階の図書館には明るい光が満ちており、ガラスで区切られたスペース内に様々な本が並んでいる。しかしながら配置方法などは書店に近く、同じ本や雑誌が何冊も陳列されていることも。入口階段から左手側には読書スペースがあり、常に人が着席している。右手側には係員の居るカウンターがあり、本の貸し出しや販売を行なっていると思われる。いずれの際にも、それらの設備を利用できたことはない。


 多くの場合、なんらかの〝レアな雑誌〟を探し回ることになる。これは幸崎自身が読みたくて探しているものだと思われるが、具体的に何を探しているのかは不明。大抵の場合は大判のカラー雑誌であり、ゲームの情報が掲載されている。しかしながらゲームの情報は前半部分のみであり、後半は目次や誰かの落書き帳のような状態となっている。多くの場合、その落書きに対して感銘を受けたり、逆に嫌悪感を覚える場合がある。いずれの際にも詳しい内容は不明であるが、なんらかの図形や数式、樹形図らしきものが描かれている。


 大抵はここで目が覚めることになるが、稀に6階の劇場へと赴くことがある。以降の内容を、事例4として記載する。



<事例4>

 主人公(幸崎)が映画館もしくは小劇場へと立ち入った状態。多くの場合において幸崎単身ではあるが、稀に同行者を連れていることもある。その際には高校時代の友人か、小・中学校時代の知り合いである場合が多い。


 小学校時代の知り合いは、全員が〝幸崎に対する虐めの加害者〟であるのだが、この場合であっても彼らへの嫌悪感は抱いておらず、何事もなく会話を行なう。また、彼らの容姿は年齢相応に成長している。


 劇場内には多くの観客が居る場合もあるものの、なんらかの催し物が上演されたケースは無い。それでも不快感を示すこともなく、ある程度の時間が経過した後に、満足げな様子で会場から退出する。その際に観客席に上述の知り合いが居ることもあり、親しげな様子で会話を行なう。しかしながら彼らと別れた後に、現在の交友関係を思い出すことで思考が活性化され、夢から目覚めることとなる。



             *



<総評>

 事例2の〝3階〟は、とにかく見たくない悪夢。幸崎自身は入院経験はあるものの、大きな病気をしたことはない。しかしながら幼少期に妹が何度も入退院を繰り返しており、その際には少なくないトラウマを負ったという自覚はある。特に夜、生活感のある静かな部屋に白い蛍光灯の灯りが点いていると、今でも不安感を覚える。


 共通する項目は、子供や幼少期といった内容だろうか。子供は残酷な虐めを嬉々として行ない、私自身も激しい虐めを受けていたことから、子供を残酷な存在だと認識しているきらいがある。もちろん、純粋で可愛いという意見にも賛同できるのだが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る