鳥とリボン

菫野

鳥とリボン

いめゆ手を連れて戻りぬわたくしの世話をこまごま焼く白き手を


朝なさなわれのからだをとり出だす象嵌の古きさき箱より


リボン長く吐き出したればひとりでに巻かれゆくさまあな痛ましき


夢は箱でありませうとぞ歌ひける母は飼ひたり雲のけものを


ひとつ上の姉はとりかごでしたから羽根は日に日に肺に積もりて


人形の棺は夢でこの部屋はすなはちわが死ふくみ入ること


瞼ふかく閉ぢゆくことを習ひつつわが眼はうちにひらき初めたり


ゆふつかた窓に倚りたる鳥一羽ありて銀河をひとつ呑みほす


かささぎ座かがよふ夜のてのひらに林檎みるみるくたしゆくなり


わが胸にひらく窓あり眼の鳥とリボンを今しとき放ち、行け

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鳥とリボン 菫野 @ayagonmail

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