屋根裏を覗いてはいけないよ。

大昔から、わたしの家は立て直しても、なぜか必要のない屋根裏を作る。小窓は都の方角にひとつ。そこには何も置いてはいけない。覗いてもいけない。
先祖が御座に座る貴族を担いで逃げたいう話が、今でも、村に伝わっている。その少年がいつでも逃げ込んで隠れることが出来るように、屋根裏を設えているのだそうだ。その貴族の少年とは、都から逃れてきた平家の若君なのだろうか。
ショートですが、完成したみごとな一作です。