第2話
母が残した手紙には
①母が侯爵家の使用人だったこと
②許嫁のいる侯爵家の嫡男と秘密の恋仲だったこと。
③嫡男と過ごした一夜で私ができたこと。
④嫡男との仲をしった当主にお金を渡す代わりに嫡男から離れるように言われ私の存在がばれないようにするために当主を利用し、侯爵家から離れたこと
が記されていました。
この手紙にはどの侯爵家かが記されていませんし、許嫁がいたのであれば今頃結婚している可能性があり、自分は女性だから受け入れられるけれど幸せになれるとは限らないのでできるだけ侯爵家の現在を探らないといけないと考えました。
しかし、なんのつてもない小汚い孤児がどうやって調べればいいのかもわかりませんし、母が亡くなって3ヶ月ほどこの見てくれのよさで食べ物をわけてくれる屋台のおじさんたちにも汚れてきた私が屋台に近づくのも難しくなってきたので貴族街に続く庶民街で物乞いをするしか食い扶持がなくなってしまったのでした。
日課の物乞いをしながら考えごとをしているうちに、
「君、女性から産まれてるよね?なんで1人でいるの?汚れてかわいそうに。どうしてこんなところに座ってるんだい?」
とあやしさ満点の笑顔をうかべた、どうみても貴族の気まぐれお忍びを楽しんでいる20代ぐらいの若者に声をかけられてしまいました。
「おーい。聞こえてる?」
しばらく驚きで返事ができないでいると顔の前で手を振りながら声をかけられていることに気づいた私は
「な、何でしょうか。」
と無難な返事をしてしまいました。
「母親はどうしたの?」
と聞かれたので、
「3ヶ月ほど前に亡くなりました。」
と答えると
「そっか。災難だったね。よいしょ」
と言いながら何を思ったのか私のことを抱き上げてきたのです。
「人攫い。誰か助けてください。」
と必死に抵抗するも、貴族らしき人物が小汚い孤児を連れて行こうとするのをとめる庶民などいるはずもなく、抵抗むなしくこの謎の人物の家にいきなりつれていかれてしまうのでした。
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