第4話

近くのバス停に向かう。

もう、待っていられない。

少しスマホをいじっても、まだ落ち着かない。

これから、僕はどうすれば良いのだろう。

死ぬのは、嫌いだ。

1番当人が苦しまなくていい手段だから。

一瞬苦しむだけで、全てのことから解放されるから。

一番苦しいのは生きることだ。

だから、僕はこの命を他の人の為に、そう怪我をおわせてしまった君のために使いたいって思ってた。

――そう、思ってた。

君に会うまでは。



「何もしなくていいよ。気負わないで?」


あっけらかんという君は、とても事故で傷ついた人には見えなかった。

どちらかと言えばなんにも興味がなさそうだった。


「だから、早く帰ってよ。」


そう言ってバサッと布団を被り、君はそっぽを向いた。


「名前ぐらい、教えてくれよ。」


その事がひとつのきっかけになることを信じて。

――違った。

きっかけ、どころじゃなかった。

この転換は、僕の世界を変えた。


黒氏くろうじ光莉ひかり。」


………………!

嘘、だろう?

その名前は、僕の姉の親友の名前だ。

幼馴染の名前だ。

頼ってきた人の名前だ。

なぁ。お前が、のか?

僕は君に尋ねる。


朝宮あさみや光葵みつきを、知りませんか?」

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雨の夜、また君に逢いたい。 うた🪄︎︎◝✩ @umiuta

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