第3話

光葵みつきは、太陽のような人だった。

眩しくて、僕の憧れだった。

いつでも笑ってて、楽しそうで。

みんなに嫌われる僕のことを庇ってくれて。

僕を認めてくれた、唯一の人。

僕は、光葵みつきの事が大好きだった。

恋情とは違う、家庭的な愛。

それを光葵みつきは僕にくれた。

――初めて。

僕たちの両親は、急に失踪した。


多分、だけれど。

僕たちの両親は僕を愛してなかった。

親から愛を感じたことがなかった。

ずっと、心のどこかに寂しさがあった。

――僕のせいなんだ。

愛想が悪い。要領が悪い。何もできない。

記憶にない頃にはかわいがっていたのかもしれないけれど、もう僕の記憶にはなかった。

僕は、光葵みつきからしか愛をもらっていない。

全部、僕が悪いのだけれど。


「プルルルル……。」


電話の音が鳴り響く。

僕に友達なんて居ない。

――誰だろうか。


「はい、朝宮あさみやです。」

『お電話失礼します。こちら、警察です。この間のことなのですが。』


あぁ。そういうことか。

僕に全ての責任を負わせるのだろうか。


『1回、怪我をした相手とお話をしませんか?』


あの、少女と?

僕が? 何で?


「あの、何故話をする必要があるんですか?」


1呼吸置いて、警察が言う。


『相手の方が、会いたいって仰っているからです。』


本当に分からなくなってきた。

相手が、僕に?

なんでその必要があるのだろうか。

生きているのは、まず良かった。

僕のせいで、ひとつの命が失われなくて。

僕は、君に尽くさないといけない。

だって、君に悪いことをしてしまったから。

君に怪我を負わせてしまった。

時間を使わせてしまった。

あぁ、申し訳ない。

謝りに、いかなくては。


「了解しました。どこの、病院ですか?」

光雨こうう総合病院です。』


光雨総合病院なら僕の家からそんなに遠くない。

――向かうか、今から。

居ても立っても居られない。


「ありがとうございました!」


そういってすぐに受話器を置いた。

すぐに身支度を終えて、家を出た。

君に、会いに行くために。

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