人生の重みを
klema
第1話
どうもklemaです。
シリアスな作品となっているため不快に思われる方、苦手な方は見ないようお願いいたします。
なるべくオブラートに包む予定です。(文章力が足りないとかではないです、多分)
※ この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。御理解頂いた上でお読みください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
人は歩き、人は息をし、人は会話し、人は夢を見る。そして人は健康に明日を迎える。それは当たり前なことで、人が生まれ落ちた時から持っている当然の権利なのだろう。当時の俺、花形幹もそう思っていた。
朝起きて、リビングにあるテレビをつければ、ニュースが流れており、○○が殺人容疑の疑いで逮捕された。○○高校が一回戦突破などといった、当たり障りもない、いつもの日常がそこにはあった。
朝起きて、ご飯を食べ、学校に行き、家に帰ってくると宿題をし、ゲームをし、そして夜寝る。そんな当たり前の日常の循環。
人生の重みを。
そんな日常の循環が崩れるなど露ほどにも思っていなかった。それは僕が中学3年生の頃であった。
▼
その時はいつも通り家を出て、学校に向かい歴史の授業を受けてきた時の事だった。
「えぇー、今川義元が京へと向かい上洛をしようとします。」
いつも通り変わり映えのしない授業である。眠そうに授業を聞いている生徒、寝ている生徒、真面目に聞いている生徒等多岐にわたりる。
だが、そんな日常もトンカチで硝子を割るかのように唯一つの出来事によって簡単に壊れる。
それは突然と起こる。
いきよいよく教室のドアが開く。そこにはこれといった特徴もない中年の男が立っていた。
教室にいた教師も、生徒も、突然と起こる事態に対応することが出来ず、呆然としていた。
その男は持っていた鞄を漁り、堂々と包丁をとりだす、その仕草は何回も練習していたかのようであった。
「…ね…ね…ね……死ねぇぇえ!……死ねよ!」
その男から発せられた言葉は、呪詛のように妬みや辛みが込み上げてくるもので、世界への絶望があった。
生徒全員思考が止まる。教師は体を振り絞り、行動をおこす。
「おい!」
と大声をだし、教卓を叩く。教師は、生徒の気を逸らすようつとめる。
「ドア!」
と端的に指示を出す。それを聞いたドア際にいた生徒は、瞬時に理解するとドアを開ける。
だが、逃げられると理解した男は包丁を携え突貫を開始する。最初に標的にされたのは教師であった。
教師を抵抗する暇もなく、数回胸を刺される。それを目撃した女生徒は、悲鳴をあげる。
何事かと思った両隣にいた教師、生徒はドアを開け出てくるが、教師が目撃したものは数人の生徒と教師倒れてる現場であり、床は血の海で真っ赤であった。教師はすぐに火災報知器を鳴らし、持ってきた携帯で110と119に通報する。教師は生徒を避難させる。
生徒達は空いてあったドアから、次々と避難していく。それを恐れた男はドアの方へと向かっていき、次々と刺していく。それはさながら地獄絵図であった。
当時、俺はドアの近くの席にいたため難を逃れることは出来た。だが、避難しグラウンドに出ると、生徒の表情は窶れ老けているようであり、その表情は今でも頭にこびりついて離れることはない。
その男は、侵入した教室に監禁され、警察に逮捕された。その教室にいた七人の生徒と教師は、すぐに、病院へと運ばれたが、全員が帰らる人なった。
遺族の方たちは、嗚咽まじりの声で、何物にも代えがたい存在を失った悲しみでインタビューに答えていた。
それを見ていた俺は、胸が張り裂ける思いであった。
時は流れる、それは無情にも。
時がながれるにつれこの事件も忘れされるのだろう。
だが、当時者なった俺は、今でも鮮明に覚えている。当たり前が当たり前ではなくなる瞬間を。
人生の重みを。
人生の重みを klema @klema
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人生の重みをの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます