第12話 しししとトモダチ
「今回はなかなかしんどかったですね」
Aが言った。
「……そうだね……」
Bがため息をつきながら答えた。
こここは枯葉の妖精を召喚し、街を歩かせた。
足跡から大量の枯葉が湧いてきて都市機能が止まりかける。
Bは、妖精を回収してゴミ焼却場で焼くという詩(?)を書いた。
ゴミ収集車のに放り込まれる妖精たち。
ぐちゃぐちゃの塊と化した死体(?)は、メラメラと燃やされた。
さささの時は、人の額に値札が表示された。
幸いAとBにはその現象は起きなかったが、一体何が基準でその値段なのかとさまざまな憶測がネットを埋め尽くした。
現象は収まったが、一度目にした隣人の値段は忘れないだろう。
「なんで俺たちには影響ないんだ? 香りのときもそうだったけど」
「うんうんはBさんにしか動かせないんで、特別扱いなわけで。ここは、世界の最先端技術の粋を集めたシェルターなんですよ」
「シェルターをたくさん作ればよくない?」
「今の災厄に対応できてるだけで、今後も大丈夫とは言えません。根本的な解決にはならないですね」
「根本的解決……。あああたちを倒す、的な?」
「それができたら一番ですが。奴らが何なのかはさっぱりわからないので、何とも……」
「……そうか……」
Bは目の前にあるコーヒーが入ったマグカップをじっと見つめた。
「落ち込んでます?」
「あ、うん……。ちょっと疲れたね」
「温泉でも行けたらいいのですけど」
「いや、いいよ。こんな大変なときに」
「まず、あと38日の辛抱です」
「まさか、五十音が終わったら次はアルファベットとかないかな?」
Aは絶句した。
「人類が生き残っているという希望と、こんな世界が続くという絶望を同時に表現した恐ろしいセリフでしたね。詩人力高まってます?」
「いや、よくわからん。まあ、いいや、俺はやれることを頑張るよ」
ベルマークに赤い丸が点いた。
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………………
…………
……
これは、不幸のメッセージです。
このメッセージを受け取ったあなたは、3日以内に3人の友人にこれと同じ内容のメッセージを送ってください。
それをしなかった場合、あなたが想像しうる最大の不幸が訪れます。
……
…………
………………
「もう、呪いじゃん!」
Bは机を拳で叩いた。
「ああ、これは人類皆やるでしょうね。なんせ、有言実行の災厄からのメッセージですから。友達が多い人はたくさんメッセージが来て大変そうですね」
「友達がいない人は?」
「それでも電話帳開いて、誰かには送るんじゃないですか?」
「……友達に不幸を押し付けるの?」
「押し付け合えばいいんじゃないですか? 重複不可とは書いてないんで」
「そうだけど……そういうもん?」
Bは納得いかないような顔をして、PCに詩を打ち込み始めた。
は か い 千織 @katokaikou
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