森閑とした竹林の奥深く、魔物の領域と。

薄暗い竹の間を風が吹き抜ける。
濃淡の異なる竹の影に取り巻かれて見失う
この世との 境界線 を。
遥か頭上を竹の葉のさんざめきが揺れ、
トン カラリ と軽やかに鳴る空竹の音。
竹葉の堆積した合間に、黒々とした土。

森閑とした竹林の中に在って、潮の香が
漂う。昏く腥い海の匂いが吹き付ける。
白い長髪の尾、笑い女の臓物。
血みどろの口元が赤黒く嗤う。まるで
啜り泣くかのように。


 竹林の奥、そこは 異界 だ。

そこでは誰にでも 見える のだろう。
決してあってはならない モノ が。