14 ウェーザー演習作戦

ノルウェーは、戦略上の要衝であり、その地理的な特性が、我々の作戦計画にとって極めて重要な役割を果たすことになると確信していた。


ノルウェーの海岸線は、一見すると入り江や島々に遮られた複雑な地形だが、実際にはドイツにとって絶好の軍事拠点を提供するものだった。全長1,600キロにも及ぶこの海岸線は、ドイツが英国による海上封鎖に対抗する際にも、逆に大西洋上で英国の艦船を攻撃する際にも欠かせない基地となる。その重要性を我々は見逃すことはできなかった。

さらに、ノルウェーにはもう一つの重要な役割があった。スウェーデンの鉄鉱石輸出の拠点としての役割だ。北スウェーデンはヨーロッパ有数の鉄鉱石産地であり、その鉱石は我々の軍需産業にとって欠かせない資源だった。特に、冬季にボスニア湾のルーレオ港が全面凍結する中、ノルウェーのナルヴィク港は不凍港として貴重な存在となっていた。この港を確保することは、ドイツが戦争を勝ち抜くために不可欠だった。


その一方で、英国もまたノルウェーの戦略的重要性に気づいていた。1940年初め、冬戦争が終結した後、チャーチルは北ノルウェーに拠点を確保することを強く望んでいた。しかし、彼の計画は閣内の支持を得られず、代わりに浮氷海域に機雷を敷設するという半端な手段に落ち着いた。それでも、もしドイツ軍がノルウェーに上陸する兆候が見えれば、英国もすぐさま対応すると決めていた。


我々はこの情報を慎重に分析し、迅速な行動が必要であると判断した。ヒトラー総統はエーリヒ・レーダー提督から、英国に先を越される前にノルウェーを制圧するよう強く求められた。レーダー提督の進言は鋭く、そして的確だった。英国が動く前に、我々が先手を打たなければならない。


1940年3月1日、ついにその時が来た。ヒトラー総統は、ノルウェーおよびその途中に位置するデンマークへの侵攻命令を正式に発した。これは、ドイツの戦略にとって決定的な瞬間であり、我々の計画の精密さと大胆さが試される時でもあった。


作戦は国防軍最高司令部(OKW)の統率の下に置かれた。OKWは陸海空軍の相互間で作戦を統括する機関であり、ヒトラー総統自身が私、作戦部長ハンス・クリューガー、そしてカイテル総長と共に指揮をとった。作戦計画は、過去に例を見ないほどの大胆さを持っていた。デンマークとノルウェーの抵抗は予想されるが、それが我々の進軍を妨げるほどの障害になるとは考えられなかった。だが、真に重要なのは英国の動向だった。英国は、その制海権を頼みに、ドイツが陸から攻め込んでくるだろうと予想していた。

しかし、ヒトラー総統は彼らの思惑を完全に裏切ることを決意していた。我々は、英国海軍の優位性に正面から挑むという選択をしたのだ。ノルウェー海岸の北方に位置するナルヴィクを含む複数の拠点を一気に押さえること、そして空挺部隊を用いて重要な飛行場を迅速に占領する計画が立案された。このような作戦は、軍事史上初めての試みであり、成功すればその後の戦局に決定的な影響を与えると確信していた。


1940年4月9日、作戦はついに開始された。オスロからナルヴィクに至るノルウェー全土を攻撃するため、我々の部隊は一斉に行動を開始した。疾風と吹雪が荒れ狂う中、ドイツ軍は数々の困難に直面した。特に、重巡洋艦ブリュッヒャーがオスロ・フィヨルドで沈められたことは大きな痛手であった。しかし、それでも我々は大部分の拠点の占領に成功したのだ。

一方、英国は我々の動きに驚愕していた。特に、ドイツ軍がナルヴィクにまで上陸したとの報告は、彼らには到底信じられなかった。彼らはそれを、オスロ・フィヨルド近くのラルヴィクとの誤報だと考えていたほどだった。スウェーデンからの情報も無視され、我々が英国軍の進攻を迎え撃つために待機しているに過ぎないと思い込んでいた。

作戦が進むにつれて、英国政府は我々の計画の巧妙さに驚きを隠せなかった。彼らはノルウェーの港湾や飛行場に関する情報不足に苦しみ、混乱の中で次々と計画を変更せざるを得なかった。結局、英仏軍は極めて不利な条件下での上陸を余儀なくされ、惨めにも敗北してしまった。

英仏軍はノルウェーの港湾や飛行場に上陸するための準備をしていたが、ドイツ軍の迅速な動きによってその計画はことごとく打ち砕かれた。ナムソスで上陸したフランス軍は、必要な装備を持たず、港に到着した時には、すでに状況が手遅れであることに気づいた。

その後も、ドイツ軍はノルウェー全土で戦略的拠点を次々と押さえていった。英国海軍は空母グロリアスを失い、ノルウェーからの撤退を余儀なくされた。最終的に、我々はノルウェーの基地を確保し、大西洋を往来する艦船への攻撃を繰り返した。さらに、スウェーデンからの鉄鉱石輸送は順調に進み、ドイツの戦争遂行に不可欠な資源の供給を確保することができた。

敗走する輸送船 はレーダーが艦隊保全のため巡洋戦艦による攻撃をやめたため無事に逃げのび、生き残りの遠征軍兵士 やノルウェー国王を乗せて英国本土にたどり着いた。


ヒトラー総統の大胆な決断は、ドイツ軍の陸海空三軍の連携と、優れた気象情報の活用、そして何よりも敵の不手際に助けられた結果、見事に成功した。ノルウェー侵攻は、ドイツ軍の作戦能力を証明すると共に、我々の勝利の礎を築くものとなった。

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