宇宙人と私
あのあと本当に彼はやって来た。
面接は彼が相手で、頑張って話す私をずっとにこにこしながら見ていた。
そういえば、あの手紙を出す際に私の名前を探し出すのに苦労した、などと訴えられたが、私だって彼の名前を知らなかった。
教えてくれてたら私だって教えたのに、別に隠してたわけでもないし。とは思ったものの、正体がわかったらまた比べられてしまうかもしれないと思った、だなんて言われてしまった。
「でも、一緒に過ごしてみて、君はそんなことしないって分かったよ。」
はにかんだような顔に、少し心臓が高鳴ったのも数年前。
今は_____
「ねえ、今日のデート楽しみにしてくれてる?」
「まあ、それなりに。」
「今日も君は素直じゃないね。」
ものすごいアプローチで特攻してくる社長と、素直になれない秘書の私が結ばれるのにはすごく時間がかかったものの。
ついに折れた私を、この社長は奪い去っていったのだ。
「さあ、仕事も終わったことだし。行こうか。」
そう言って手を差し出す。
本当に様になるなあ、なんて他人事のように考えながら、その手の上にそっと自分の右手を重ねた。
今朝、宇宙人を拾った。 家庭菜園きゅうり。 @haruponnu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます