夏のある日

Nyamu

夏のある日

 残暑厳しい折、いかがお過ごしですか。


カクヨムの作家様、読者様、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。


 これは某知人〇ゃむさんから聞いた話なんですが…。





 7月から急激に暑くなり、いろいろな業界が忙しく人手も足りなく、時間に追い回される…。


 生きるために働くのか、働くために生きているのか、そんな疑問すら沸かせない日常。


 毎年同じような夏を過ごしてきたはずなのに、今年の夏は一味違った苦みのある少しだけ大人な夏だったのかもしれません。


 切っ掛けは些細なことでした。連日の暑さと仕事量で気力も体力も根こそぎ奪われ、それでもカクヨムを読むくらいはと文章に目を通そうとすると、見ているモニターの画面がんです。


目が回るというものを初めて体感しましたが、眩暈すら起こしたことがない私は本当に恐怖を感じました。


 これはマズいと画面から目を離し、横になって目を閉じれば何もなかったかのように元の普通の状態に戻っていました。疲れがたまっている…確かに36度なんて気温は私にとって未知なもので、それでも水分は多めに取り熱中症対策もしっかりしていたはず。


 小食ではあるが食事も取れていて、寝不足も少なかったのに。


 今振り返ってみると、毎日栄養剤を摂取しないとこなせない仕事量はやはり異常だったんだと思います。その時は、すぐに元に戻れたから倒れる前に気づけて良かった、と軽く見ていたのですけれど…。


 戻った気がしただけで、体の内部では異常が進行していたとも気づかずに。



 それからは仕事から帰ったら早めに寝ることを心がけ、PCでの事務仕事も控えめにして目を休ませました。一週間が経つ頃には、以前に目が回ったことなど忘れ、身体も復調したと…そう思っていたのが罠だとは思ってもいませんでした。




 仕事が無い業界もあるなか、仕事があることは有難いこと。働けることは幸せなことだと前向きに考えていたのは、良いことでもあり、悪いことでもある。それを教わったと今は思えます。他から見れば、ただのマヌケ以外のなにものでもないかもしれませんが…。




 元気になったんだから、だよね…はい、鹿ですね。なるほど、痛い目を見ないと学ばない人間だったようですわたしは。頑張り屋と言えば聞こえは良いかもしれませんが、自分の限界を知らない無知な青二才…幼稚だったんでしょう。


 ことでこなしてしまった。こなせてしまった。


 ですが人間、限界は訪れるもので…前兆はあったのに。


 急に来ました。


 仕事から疲れて帰り、なんやかんやと終えてからベットで眠ろうとすると、耳の傍をトクン・トクンと脈打つ音が聞こえるんです。耳鳴りではなく、心音に近い鼓動音。それもすごく早い音が。


 あまりに気になり過ぎて、でも早く寝なければと…はい鹿です、





 その後、体感では一時間くらい寝返りをうって眠れないな~でも音が治まって来たなと安堵していたら、耳の奥でキュルキュルキュルと排水口に流れる水のような音が聞こえ…



 片耳が何も聞こえなくなりました。



 そして翌朝…ハイ鹿です。鹿! 


 慌てて行きつけの医院に向かい診察を受けると、とお叱りを受け、紹介状を書いてもらいすぐに大病院へと入院。


 ステロイドやビタミン剤、その他諸々点滴だらけの毎日を2週間。その他にも色々なお薬を飲んで立派な薬中患者まっしぐらです。病院のお食事は三食出ますが、大量のお粥はあれって普通なんでしょうか。あと、味が無いものばかりで…いや贅沢を言ってはいけませんね。


 それと初めてMRIというものを受けましたが、とても大きいドーナツ型の機械に頭だけ入れて検査してもらいました。想像では頭からつま先まで輪っかの中を潜らせると思っていたら、頭だけでした。(頭の検査なんですから当たり前ですね笑)


 検査結果は突発性難聴。片耳は聞こえませんが、聞こえるようになるかもしれないしそのままかもしれない。どっちやねん。


 最初に違和感を感じ、目を回した時に安静にしたのは正解だったようです。しかし、その後に耳元に音がした時の症状が血管性耳鳴りと呼ぶもので、内耳など耳の周辺や脳内を流れる血流、または血管に問題がある場合に起こる耳鳴りだったそうです。

 心因性のものもあるそうで、病気って色々あるなぁと…。


 最終的には緊急性のある突発性難聴でファイナルアンサー。脳梗塞や脳腫瘍などの病気は無かったので、ストレスや過労、睡眠不足が原因だろうと3週間の入院で無事退院することになりました。



 会社には迷惑をかけてしまいましたが、自分が抜けても問題ないところまではあらかた済ませておいたので、それほど損害をもたらすようなことはありませんでした。(そもそもの話、人一人抜けたら大問題になる職場なんて欠陥だらけですしね)


 ちゃんと代役がいたし、上司も頑張り過ぎだとお小言のようなねぎらいをして下さいました。


 労災保険も大活躍…と言うよりも保険って大事なんだなぁと。自分はいつまでも健康でケガや病気とは無縁…なんて思ってはいませんでしたが、健康な人ほどこういう方面の想像力は疎いのかもしれません。


 とにもかくにも自宅に帰れる喜びと、降って湧いたお休みで残りの8月は引きこもる毎日になりそうです。お医者さんからは暑いところに行かない、ストレスかけない、規則正しい生活を送りましょう、激しくない程度に運動しましょう…他にもいっぱいです。


 なかなかにほろ苦い夏ですが、忘れられない夏になったなと…。片耳とはお別れしてしまいましたが、運がよければまた再会できるかも…。


おしまい



 長々と駄文を読んでいただきありがとうございました。


 結局お前のつまらない、面白くもないマヌケ話で何を伝えたいのか?…と問われると、もし読まれている方で頑張り屋さんがいらっしゃったり、無理されてる方がいらっしゃったら、私のようなマヌケにならないで欲しいなと思い筆を取った次第です。


 


 追伸


今の看護師さんってナースキャップってしないんですね。そもそもナースさんって呼ばないんですね。あれ?ナースって自分どこで覚えたんだろ…ドスケベナース24時って何かで見たような…まだ頭がおかしいようです。





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夏のある日 Nyamu @Nyamu2023

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