第4話 最後
退職することになった。
「僕だったら転職活動を辞めるね」と言った主治医に従ったわけではない。次の就職先が見つかったのだ。
そのことを主治医に打ち明けると、「ふうん、そう」と気持ちのこもっていない返事を寄越してきた。産業医に打ち明けた時の方が、まだ驚きがあったものだ。
転職する。ならば、今の仕事は最終出勤日までやれば、二度とすることはない。
明日が最終出勤日だ。有給休暇を使って、午前で仕事を終え、その後やってくる郵便屋にパソコンやらの備品を渡すだけだ。
最後の日の前の夜。何か感慨があるかと思っていたが、特にない。給料が安かったなあ、と思うだけである。
最後ってこんなもんか。じゃあ、私の最期もこんなもんなんだろうか。そんなことを考えたりした夜だった。
精神疾患および人生についての考察 色野はくし @irono8shiro
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