彼女の話

 こいをした。


 恋に憶病おくびょうになっていたわたしが。


 私のはだすこくろい。

 ちちがインドけいひとだから。


 にすることはないとおもっていた。

 肌のいろちがうくらい。


 女友達おんなともだちなにもかまわずってくれた。

 私は自分じぶんでいうのもなんだけど、さばさばした性格せいかくで、あかるくて。

 それだからみんなも私のルーツなんて気にせず付き合ってくれたんだろう。


 でも、おとこは違ったようだ。


 かげでこそこそ、私のことを「クロギャル」なんていっていたこと、あとからった。


 そう、あのときに。


 告白こくはくゲーム。


「うっそっだ、よーん!」


 あいつはケタケタとわらった。

 陰にかくれていた連中れんちゅうも。


 私も笑ってやった!


かってたよーん!」


 精一杯せいいっぱいつよがり。

 こころいて。


 ほんと、強がりだなあ、私。

 だからきっと、男の子からは女に見られないんだろう。

 からかってもわらってませられる存在そんざいって、そんなふうに思われたんだろう。バカじゃない? 傷付きずつかないわけがない。学校がっこうくのももういやになっていた。そのばんまくらに隠してワンワンいたんだ! だからって、それで学校に行かないってのもけたようで。ためいきとびらそとすませた。教室きょうしつはいったら、あいつらは「イエーイ!」とかいってくる。ぐっとこらえて、いつもどおりをよそおった。「にすんなよ」なんて、おまえらがいうことじゃないだろ!


 バーカッ!!


 くやしい。

 かなしい。

 あいつ、ちょっとかっこいいなって思っていたんだけどな。

 ひとがなかった自分じぶんがまたなさけなくて。


「どうしたの?」


「え?」


 あのひとはでも、すぐに私の変化へんかに気付いてくれた。

 そのときまではただのよく話す男友達の一人ひとりってかんじだけだったんだけどなあ。

 あのとき本当ほんとうたすけられた。でも、心のどこかでやっぱりトゲはけていなくて、さったそれがじくじくいたんで。


 告白こくはく、うれしかったんだけどなあ。

 しんれなかった。


うそだよね。からかったってかるよ!」


 なんて、心にもないことを。


 進級しんきゅうして、クラスがかれた。

 正直しょうじき、ほっとした。


 これでかれのことはわすれられる、それでいいんだって。けど、彼はすれちがうたび、おなじように私にわらいかけてくれる。わらない、あの笑顔えがおは。すこ距離きょり出来できてしまったのは私のせい?


 それとも……。


 期待きたいして、いのかな?


 こわいな。


 けど、私の心はに日にふくれていく。


 勇気ゆうきして、今度こんどは私から。

 が、あしが、ふるえるけれど。


 あなたはどんなかおをするんだろう?

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もう一度、恋してもいいですか? 一歩踏み出すのが怖いけど @t-Arigatou

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