海には母胎と回帰を、陸には繁栄と衰退を。その境界線上の少女を待つ運命。

(レビューに残酷描写あり)

風景描写、心情描写の緻密さに、まず目を惹かれる。
映画版「野火」のように、重いテーマ+美しい自然の対比がもたらす訴求力。

心も身体も汚されたパパ活ぴえん女子が、海に浄化されて、最期を遂げようと願う。
だが、自決の理想と現実には、激しいギャップがある。

皮膚が膨れ上がって巨人様となり。
内臓はフジツボや微生物が寄生して。
魚たちには、捕食されて引き裂かれる。

そんな「現実」を知る人物が、その愚行に割り込むが・・・

別に「死ぬためだけに生きる」事の、何が悪いのか。
そんな俺の感情を、「不幸中の温もり」と共に、代弁してくれた一作。