第7話 美春お姉さんとご褒美の休日
シーン9 寝室(朝)
(SE:外から聞こえてくる雀の鳴き声)
(SE:主人公が布団から起き上がる音)
「……うう、眩し」
「……んあ?」
「ああ、おはよ~……」
「ん~っ」
(美春お姉さん、大きく伸び)
「昨日、大変だったのよ~」
「君ったら、布団たどり着かないで寝ちゃうんだも~ん」
「そう! あたし、頑張って君のことここまで運んだの! 頑張ったでしょ?」
「まあ、運んだというより『引きずった』が正しいんだけどね……。非力なもので……」
「終わったらぐったりで、君のそばで寝ちゃった! ごめんね!」
「ねえねえ!」
「今日、土曜日で休みでしょ! 何か予定あったりするの?」
「何にもない!? オッケー!」
「嬉しそう? まあ、嬉しいよ」
「だって仕事あるんだったら、あたし一人お部屋でお留守番しなきゃいけないけど、今日一日どこも行かないんでしょ?」
「寂しくないから、良かったな~って」
「えっ、用事思い出した?」
「なになに、どこ行くの?」
「どこも行かない? じゃあ、何……」
「っ……!? ちょ、ちょっと!?」
(主人公、美春お姉さんを布団にそっと押し倒す)
(SE:布団の衣擦れ音)
「――あたしといちゃいちゃすることって……。もうっ……」
「ふふふっ」
(左耳に囁く)「いいよ、一日中でもつきあってあげる」
「……本当?」
「……んっ。あたしも、大好き」
「ねっ、目閉じて」
「わかってるでしょ? どういうことか」
(美春お姉さんとキス)
(SE:軽めのリップ音)
「どれぐらいかって? うーん、そうねえ」
「一度ぎゅーってしたら、もう離れたくないぐらい」
「君は?」
「他のすべて手放してもいいぐらい?」
「あははっ、映画みたいなセリフ~」
「でも好きだよ、そういうの」
「ねっ、もう一回キスして?」
「今度は君から……」
(主人公の方からキス)
(SE:眺めのリップ音)
「……んんっ」
「……キス、上手ね」
「こういうこと最初に教えたのは、誰?」
「そっか、あたしかあ……」
(SE:お腹の鳴る音)
「んっ?」
「おおっ? 何だ、今の音は?」
「はは~、腹ペコだな~」
「こういうときでもお腹なっちゃうのが君らしいよね~」
「あはは、褒めてるのよ~。マイペースでかわいいな~って」
「ご飯、食べようよ」
「続きは、そのあと。ね?」
「食べないと続きはなーし!」
「そんなめんどくさがらないの~」
「何をするにしてもあたしがそばにいるからさ!」
(小さい声で)
「……これからも、ずっとね」
「ん、なんでもない!」
「はい、ご飯の準備できて偉いっ!」
了
社会人大変だけど、家に帰れば愉快で優しい地縛霊の美春お姉さんがいるから大丈夫 暇崎ルア @kashiwagi612
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