第4話:墓穴を掘った犯人。
そいつの名前は「
豆駒はこいつが怪しいって睨んだ。
でも今の所、横島が犯人だって証拠はない・・・全部、豆駒の推理に基づく判断。
そこで僕は横島を、担任として僕のクラスに呼び出した。
「なんですか先生・・・俺に用ですか?」
「横島君・・・すまんな急に呼び出したりして・・・」
「どうも・・・うち、
「ああ・・・どうも・・・舞妓さん?」
「で?僕になにか?」
「横島はん・・・
「・・・・・」
「いきなり、なに言ってんだよ・・・」
「俺が人吉を?・・・バカバカしい」
「なんで俺が人吉を殺さなきゃいけないんだよ」
「なにを証拠に俺が人吉を殺したって言うんだ?・・・根拠は?・・・証拠は?」
「ちょっと私の話を聞いてもらえますか?」
「横島はん・・・人吉はんにバカにされはりました?・・・たとえばマズい
ことを人吉さんに見られはったとか?」
「聞いた話によりますと横島はん最近、三田さんって女の子に告白して
フられてはりますよね」
「なんでそんなこと知ってる?・・・それは今回のことと関係ないだろ?」
「人って人の悪口や噂を広めたがる傾向にある生き物らしいからな」
「みんな協力的だったよ、まるで自分の手柄みたいにさ」
「君のことをカバってくれるようなやつはいないってことかな」
「横島はん、あんたはんプライド高いでっしゃろ?」
「しかもフられてながら、三田さんのストーカーみたいなこともしてたって
これも見てはった人が言ってはったことです・・・」
「三田さんにこっぴどく拒否されて激怒して三田さんを許せなくなりはった」
「横島はん・・・三田さんも殺さはったでしょ?」
「その一部始終を人吉はんに見られた・・・で脅迫を受けはったんとちゃ
いますか?」
「で、証拠隠滅のため思い余って人吉はんを殺しはった」
「殺すつもりはなかったって言いはりますやろうけど人を殺そうなんて思てはる
人はもう理屈なんかあらしまへん」
「ただ意味もなく必死どす・・・そういうのが殺人者の心理」
「違う!!・・・そんなの出鱈目だ・・・だいいちそれっておまえの推理
だけだろ? ただ御託を並べてるだけじゃないか?」
「証拠があるなら見せろよ」
「あんたはんは知らなかったでしょうけど、見られてはったんですよ」
「あんたはんが牛乳に毒を入れてるところを見てはった人がいたんどす、
それが動かぬ証拠どす」
「なんだって?」
「バカな・・・あの時、俺は教室に誰もいないことを確かめたぞ」
「間違いなく誰もいなかったんだ」
「それって、間違いおまへんか?横島はん・・・」
「間違いない・・・絶対な」
「俊介はん・・・この人自分で自分が犯人ですって認めはりましたよ」
「え・・・・どういうこと?豆駒?」
「この人自白しはったの・・」
「牛乳に毒を入れたのは自分だって今、認めはりました」
「横島はん、あんたはんの言うたとおり、あの時この教室には目撃者なんて
いてまへんでしたえ」
「けど、逆に誰もいてへんかったってことは、あの時間牛乳に毒を入れる
ことができたんは横島はん、あんたはんひとりだけどす」
「あっ・・・」
「分かりはりました?」
横島は見事に豆駒の誘導に引っかかって地雷を踏んでしまった。
自分で犯人だって認めてしまったんだ。
豆駒は証拠もないまま、推理だけで横島を自白に追い込んだ。
横島は観念して警察に自首した。
三田の肢体は横島の自供により山の中で発見された。
それにしても豆駒は祇園で名探偵って言われるだけのことはある。
伊達にミス・マープルを見てたわけじゃないんだな。
僕は脱帽だよ・・・改めて僕は自分の彼女を誇らしく思った。
尊敬に値するね。
まあ、中学の時から一目は置いていたけどね。
豆駒が学園に来てから、すぐに事件が勃発するなんて、実は豆駒が事件を
呼び寄せてるんじゃないかとさえ思えてしまう。
世の中にはそういう人がいるのかもしれない・・・不思議だ。
そして、それからも豆駒はみごとな推理によって数々の難事件を解決していく
ことになる。
たしかに僕の彼女は舞妓はんで、そして探偵さん。
でも豆駒が舞妓はんだってことが本当なのかなって思う時が時々ある、
そのくらい僕にとって豆駒や彼女たちの住む世界は特別。
特別な世界に住む舞妓という存在。
異次元のトンネルをくぐらないとその世界には行けないような奇妙な錯覚
を覚える。
豆駒はたしかに僕の彼女だけど時によって近くて遠い存在のように思える。
おしまいです。
また京都で事件が発生したら、いつでも豆駒は帰ってくると思います。
はんなり舞妓はん。〜牛乳殺人事件〜 猫野 尻尾 @amanotenshi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます