暗がりから浮かび上がり交差し離れ行く波動の光

 現(うつつ)の世界と彼方(あちら)の世界の狭間を縫うように主人公が旅をするシリーズ物の第四作目です。

 世界の境界線を越えてしまったような、あるいは諦観にも似た想いと何かを抱えた女と出会った主人公は、ほんの少しの間道行を同じくします。

 はじまりはちょっとしたきっかけ……見逃してしまうような、あるいはあえて泳がせていたのか、それとも慈悲であったのか……作者さまの独特で替えのないひとつづつが素晴らしい筆跡で描き出された極上の世界を読了したあとに登場するのは深い感動と佇むような静寂です。

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