最終回・第25話〈百鬼:三部・それぞれの懐疑〉
※お祓い済みです。
あらすじ
様々な目的で活動している怪異、人間、新種族達。
その間漸く艶衰は「幸福」「黄泉」「身体」のワードへ辿り着く。
観察者
そこで力のある者達が集う湖へ観察者が
そこへ「ぞうす」と女子大生まで現れ、「破片」について教えてくれた。
更に、
一つ、黄泉の夢を見た者
二つ、幸福を齎す者
三つ、身体能力の高い者
であった。
反応する怪異の一人で
鉱石は彼に反応していた。
そこでキーとなる人物は本物の
第一章
珍しく
「給料ははずませる。今回の件では俺が追ってる『
野谷さんが俺を送っていくと言っていて迷ったのだが自分のバイクでインタビュー先に向かう。
新築の一軒家。
いつか俺もこんな家で一人カラオケや色んな作品を楽しむ。
不謹慎だがそう思いながら向かっていた。
着いた先では一人の女性がいて、俺達を案内する。 そして、リビングで話しを伺った。
「私の娘が生前撮っていた映像をお送り致しました」
娘さんのホームビデオ。
そこで謎の霊が写っていたが今回の話はそれだけでは無かった。
「元々娘は一人でいる事が多くて、誰にも会いたがらないんです。私は娘が好きにしているならそれでいいと思っていたんですけど、当時存命だった私の夫がお見合いをして欲しいと言って娘に婚約を促してました。夫も一人娘でしたから心配していて。でも夫も娘が楽しく暮らしているならそれでいいと思っていたんです。 念の為、お見合いをさせてそこで上手くいかないのなら夫はもう娘には干渉しないと決めていました。そこで娘は相性の良さそうな男性とお見合いをしたのですが結局破談。嬉しそうな娘の表情が忘れられませんでした。そして投稿映像が撮られた最近のことでした。いつの間にか娘と破談相手だった男性が結婚式を挙げるように二人一緒に亡くなっていたんです」
娘さんの謎の死に方。
野谷さんが話をまとめ、質問をする。
「娘さんは結婚が嫌な方で、その男性とも破談。ですが、それが娘さんにとっての願いであった…それなのに結ばれて亡くなっている…という事でしょうか? 」
「はい。娘は私達に言ってました。 『私、結婚なんてしない。一人でも生きていける。』と。その逞しさに私達は安心していたので」
その中での変死か。
破談を喜んでいたのに結婚式を挙げるかのように死ぬ。
幸せには色んな形があるし、俺はそれを否定も肯定もしない。 だけどこれではあんまりだ。
まるで結ばれる事が不幸のようじゃないか。
現代の闇だな。
俺はやるせなかった。
今までの幸せに対する考え方について。 もう少し俺達には選択肢がないのだろうか。
インタビューは終わった。
小口さん、野谷さん、俺も複雑な表情で車の元へ向かう。
「霊現象はきっと
「はい。」
「野谷はあの変死についてどう思う? 」
「小口さんが追ってる幸不幸死事件には、霊ではない存在が手を引いてる可能性はあります」
その会話を聞いて映像の霊現象が絡まないが、別の勢力がいる事なんてこの仕事ではよくある話だ。
そこで俺も口を挟む。
「新種族はそういったことに興味無し。だとすると怪異って存在が怪しいと俺は思います」
ここの所色々起きすぎた。
俺と同じ姿をした奴に巨大蜘蛛。
そして新種族がスタッフとしてやってきた事など。
小口さんは普段、俺と話す事はないのだが今回は俺に期待していた。
俺は今回の仕事を全うすることを考える。
第二章
俺達が避けられぬ懐疑事務所に戻ると
そこには
中には俺そっくりのあいつがいた。
小口さんも野谷さんも驚いている。
そして観察者も何かワクワクしている様子だ。
双子が二組、青年とお姉さん、そして
女子大生にやたら目立つ大きくて暗い何か。
小口さんはその相手にガンを飛ばし、「そうか。こいつが…」と何かを知ってそうだった。
あとあの
野谷さんが
とたずね、話は始まった。
俺の姿を借りた
カガミが
その中には一度別件で出会った
彼は黄泉の夢を見たらしくてカガミに気に入られる。
そうして連れ去ったカガミは
そして新種族の観察者もスタッフの仕事と称して
そこには俺も知ってる元ムエタイファイター、紅
そして、そのキーは俺にあるという。
更に女子大生といるのは小口さんが追っていた「
名前は「ぞうす」
ぞうすの対となる幸福から不幸へ
そしてその元凶に対抗出来るのは俺だと。
「ったく大勢集まって説明は感謝しているが俺達の取材以外で物事が進み過ぎだろ。ほぼ巻き込まれじゃないか」
だが一気に解決する方法は見つかった。
*
しかし、何故俺が適正者なのだろう。 悩んでいると観察者が説明した。
「
一同は驚愕していた。
俺にも聞きたいことは山程あった。
それと…
「ぞうす、と言ったな?あんたがこの事態を招いたんだろ?小口さんからある程度は聞いている。人間を幸せにして殺す怪異だと。今回もあんたの企みなのか? 」
すると女子大生が話をした。
ぞうすが人間を幸せにして殺すのはそれが食事に等しい活動だからだと。
復活にあたって
それなのに何故対抗策があるんだ?
「俺の姿をした
すると彼は肩をすくめる。
「俺はこう見えて産まれて間もない。
そうか。
すると
それぞれが思う所があるかもしれない。 だが、皆思いの外冷静だった。
「「まさか避けられぬ懐疑スタッフが命運を握っているなんて! 」」
みた限り一つ歳上の双子兄弟。
「まさかあの時の人、
「
「押し付けがましいなあお前」
こちらは上手くいってなさそうだ。
「その鉱石には俺の力も必要みたいだからな。
俺は
「全く。俺が原因みたいな言い方するな」
何だかんだ関係が良くなりそうならそれに越した事はない。
俺は別に兄弟との関係だなんて興味ないけれど。
鉱石の条件は揃い、
廃墟で黄泉竈食を食わせられかけたというのは本当らしい。
彼の力は今後役に立ちそうだ。
そして事の発端、ぞうすが鉱石に力を渡す。
女子大生が代弁した。
「先人がこんな対抗策を用意していたなんて。 私達はこの生きづらさから少しでも抜け出せればそれでいい。ぞうすの濡れ衣を晴らして! 」
勝手だと思いかけたが協力してくれるか らか憎めなかった。
こんな奪いあう世界から抜け出したいのが普通だよな。
これは凄い大役なのではないか?
俺は待ち受ける元凶と対峙できる事にプロファイターとして、避けられぬ懐疑スタッフとして誇りに思うようになった。
鉱石を
「俺達はこの現象を記録する」
そう言ってみんなカメラやスマホを取り出した。
小口さん、野谷さんも投稿者への依頼を達成する為に準備している。
この鉱石がどのような力になるかは分からない。
後は向かうだけだ!
第三章
もう一人の俺である怪異が元凶の破片の痕跡を探ってくれた。
更に
「名前はなんて呼べばいい?」
「そういえば言ってなかったな。カガミ。それでいい」
カガミと供に移動する俺達。
そこへ観察者が
「
「観察者はすっかりそいつらとのチームが成り立ってるな。お前サケカイのスタッフだろ? 」
観察者はカガミを無視して話しかけた。
「
「あのサイコ野郎を助けるのは気がひけるけど、見殺しなんてしたかないしね。それと私達の本来の仕事として、この記録をさせて貰いたくて。まあ、許可はそちら次第だけどさ。
本当は
観察者はやれやれと言いそうなポーズをする。
これだけ人が集まるのも珍しいな。 それだけ今回の相手は厄介ということか。
「
「記憶を読んだのか。まあいい。どうしても自分の力で成し遂げたい。格闘家人生も。この仕事も」
✳︎
ここが破片の世界。
カガミの力が無かったら訪れる事は無かった怪異の世界の一つ。
隠れ家から人を殺していたのか。
「他に気配はない…か。まるで解決するのを見守っていたような体だ」
カガミが歩きながら嫌味を言う。
俺達は足取り重く歩いていく。
後ろには
怖くはない!
『
破片の主。
そして「
『ぞうすの気配もあるな。まさかお前達側につくとは』
観察者が口を挟んだ。
「我々も役割は多種多様。さて、ここであなたは研究対象として捕らえられてください。勿論、私がやるわけではありませんが」
『ふん。他の生命体も結局変わらぬか』
破片は何故、人間の不幸を味わうのか話し始めた。
『お前達が幸せならばぞうすの餌。お前達が不幸せなら私の餌。そうしてかつてバランスを保っていた。だがある日人間によって封印された。しかし、当時は対抗策が対処療法でしかなく現代に私とぞうすは
破片の主は笑っている。
内心では不幸を喰らい続けたからか病んでいた。
『お前達も不幸へと沈め! 』
破片の方から布のような攻撃が襲ってくる!
するとカガミが虚像のカケラなのか?
それを使って俺達を守る。
「格闘スキルのあるお前達のサポートは任せろ!浦泉奈、いけ! 」
ああ。
カガミ、感謝する!
俺は勢いをつけて破片の主へと攻撃する。しかし跳ね返された。
「ぐあっ!」
見えない何かに攻撃されていた。
あれは、
『こいつらは便利だ。さあ、私を守るのだ! 』
これはよくないな。
する
「
「よし」
久しぶりだ。
また
破片の主は布攻撃と
ある程度は見切れるとはいえ、俺達は人間だ。
限度はある。
だが隙が生まれる。
そして俺が新種族の元へ行こうとするとカガミが現れその役を引き受けた。
そうか。記憶があるから分かるのか。
よし、これなら上手くいく。すると鉱石が光り始めた。
なんだ、この力は?
破片の主は気がついていない。
周りもそうだ。
すると光が俺を包み一瞬だけ時が止まった。
「ここは…」
安心してください
私はあなたの力を目覚めさせる光
「怪しい宗教じゃないよな? 」
私はあなたの願い
そしてこれからも力になろう
「ふん。頼もしいな。なら、行くぞ! 」
光を見に
「
『な、何!実在していただと!だが、私に並みの攻撃は効かぬ!』
それはどうだろうか?
俺は手にもつ
人質としたその二人を攫ったバチが当たったな。
いや、不幸の食い過ぎでツケを返す事になったか。
二人が引き離されたがもう遅い!
「ここでお前を封印する!解かれる事は無い!」
俺は
『一体!なぜだ!うわあああああ』
空間からこの様子を撮っていた
そしてこの武器の力はカガミにも効き始めた。
俺はその範囲を調整し、破片の主へと狭め封印したのだった。
カガミはあまりの力に驚愕する。
「これが鉱石と
破片の世界は崩れていく。
観察者はいつのまにか居なくなっていた。
本当に現金な奴だ。
そして弱ったカガミが俺達と共に現実世界へ帰れるよう虚像空間で転送した。
こうしてまさに《避けられぬ懐疑》であった本日は終わる。
避けられないが、回避は出来るから、世の中捨てたものじゃないな。
そう実感できた瞬間だった。
こうして破片の主:ぞうすは封印され、発生していたクリーチャーは消滅。
第四章
あれから、いつも通りの日常が続く。 ただ一つ違うのはスタッフでは無いのにやってくるメンバーが増えた事だ。
「
「
売られる前に使えて良かった。
そうなると
観察者もいつもなら高慢なのにやたら親切にだったが。
だが破片の主が消えた後に残った金属をこっそり
いくつかあったので観察者に調べさせてもらったのだが
「売れば人間にとって価値のある物だ」
と言われて騙されたと思って調べたら、どうやら破片の主が幸福者を不幸にした時に得た金目のものとおぼしきものだった。
「あの鉱石ほどじゃないがこれを売るといい」
まさか
後で聞いたのだが。
いつかスタッフとして採用して貰おうと
二人は金属をとって仲良く出ていった。 久しぶりにあった先輩と初めてあったあの方とは近いうちに出会う可能性は高い。
それから
「「俺達高校三年生になって中々避けられぬ懐疑を視聴する機会は無いかもしれないけど、ずっとファンですから! 」」
と応援団長のような声量で何か料理を作って持ってきた。
そして
「
「折角揃ったと思ったら悪態つきやがって。まあいいか。
こちらはバラバラだが関係性はちょうどいい。
何があったか知らないが兄弟なんてそんなもんだよな。
双子達とはなんだかんだ話があい、そこで津向や
ここ心霊確認番組スタッフなんだけどなあ。
あれから
俺もあの武器を出す機会は特に無かった為、その事を忘れかけることもあった。 破片の主を封印する為のものだからな。
ぞうすと女子大生も「人間と関わることは無い」といって去っていった。
カガミは色々と親近感が湧いてきたのだが…こればかりは仕方がないか。
だが大学生活や
程良さんも別の仕事を始めているから接点は少なくなりそうだ。
何回か敵対するのは覚悟している。
これまでの映像はDVDとして出せる範囲は限られた。
出しても売上も特に変わらない。
そっちの方も本当に怖いが…。
俺達も高校生活に格闘技生活、そしてここでの仕事で少しずつ物価高騰への対処やライバルとの
それに今は離脱している観察者達新種族もまた企みはあるのかもしれない。
観察者は本当に自由な奴だ。
俺達はいつものように生活を続ける。 俺は俺だけの部屋を作り、またカラオケを楽しむだろう。
「さあ、ボディーガードとロケをやるか」
三部作完結。
避けられぬ懐疑最終回
今後の懐疑もまだ残る。
避けられぬ懐疑 釣ール @pixixy1O
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