第24話〈百鬼:二部〉
※お祓い済みです。
あらすじ
その間に破片と呼ばれる脅威の気配を探っていたのだが全く気配も痕跡も残さず二人を連れ去る。
観察者
しかしその映像を解析しても手がかりがない。
怪異にすら手が出せない存在への対抗策。
第一章
「
イタコだった
人生には様々な「まさか」がある。
何も驚く事じゃない。
「すみませーん。
事情は全て聞いた上で解析をしている。
まさか
だからこそ、余計に感情移入してしまったのかも知れない。
「いやあ、
「ですが、この鉱石は一筋縄でいく代物じゃない。霊現象や怪現象に慣れているあなたなら分かる筈です」
「俺の霊達はライセンスを人間から護る為に協力してくれてた。それと、今時
残酷な現実だ。
特筆する能力が二人にあるのに、鉱石を売る為に本物かどうか俺に頼まないといけないという立場。
夢なんてこの世にはない。
俺が廃墟でトレーニングをしていたあの頃から。
俺は業務に戻る。
この仕事は出来るだけ自分の力で解決したい。
コンピューターで的確にこの鉱石の力を解析する。
監視カメラにも何も映らない存在が幸福にいる人間を不幸に陥れて苦悶の表情で殺すという現象だ。
幸福で死ぬ人間の次は不幸で死ぬ人間か。
俺達は極端で最低な生命体だ。
だが、ここで仕事を続けている内に焼きが回った。
秘密裏かつフィギュアも置けて、スタッフ候補も何人か見つけられた。
せめて
だがここまで未知だとオーパーツだ。
本当に売れるのだろうか。
すると観察者…新種族のスタッフがやってきた。
第二章
一方その頃。
「心霊スポット巡りも板についてきたなあ! 」
「
ある一件から心霊スポットから素材を調達して
「お前らさあ、折角俺の車に乗せてもらったのに忘れるなよ!目的を! 」
レンタカーじゃないですかとは言えなかった。
スポーツが好きな自分達よりも3つ歳上の普仲さんは心霊クリエイターを自称する程の編集者なのにやたら実用的な肉体美とお洒落をしている。
それと何だか触れてはいけない力強さを感じるから双子の自分達でも逆らえなかった。
心霊スポット巡りもこれで10度目。
インターネットを活用しても都内は分からない事ばかりだ。
と、心霊スポットに耐性がある俺達3人の方が怖いよね。
俺達は目を合わせ、同じような事を思っていた。
じっくりと素材を探そう。
✳︎
よく話を聞くと二人とも性格は違う。 それは誰しもそうだ。
だが心霊スポットに対する熱意については二人とも強い。
何だか怖い話だが、スポーツとかもこうやって楽しくやれてるのかもな。
親や友達から2人とも愛されている事が分かる。
だからつい当たりが強くなった。
その代わり動画編集で稼いだ金は2人に渡している。
「「俺達、いつか心霊スポットで手に入れたスキルで恩返しします! 」」
と意味不明な目標を掲げられた。
ここまでさせたの、廃墟で倒れて黄泉の夢みた俺なんだよな。
剛は元気にしているだろうか?
忙しい時に彼の事を考える。
ここ最近は近い関係もあった。
あいつは今何をしているのだろう。
「「な、なんだあれは!」」
二人の息ピッタシの反応が聞こえる。 ここまで揃ってるとモブみたいだ。
「またここか。イト、黒い手の痕跡はたしかに感じたのか? 」
「
「って事は遊ばれてるな。俺達」
一人の男子高校生らしきものと大きなクモが語っている。
俺達は黙ってその姿を撮っていた。
「お前ら、目立ってる」
自分達の上の木に男子高校生がいつのまにか立っていた。
「う、うわあああああ」
明らかにやばい連中だ。
「お前ら先に車乗ってろ!あいつらは俺が…」
「その必要はない」
また速い動き!
「面白い経験しているな。大丈夫。殺したりはしない。最近
こんな力…まさか、前に廃墟で倒れた時の…全部知られてる?
「ほら。こんな風にお前の姿になれる」
そこにいるのは二卵性の双子の弟、
鏡以外で見ると恐ろしい。
「あの双子も連れて行く。こちらへな」
今度は何処へ?俺達は強引に異空間へ攫われた。
第三章
ある芸能人の息子である男子中学生と番組スタッフ育成という襲撃にあって掛け替えの無い経験をする。
あれから彼はどうしてるかなあ。
湖で大学へ通わせてもらえたら食べる予定だったパフェを作って食べていた。
動画を観ながら湖でスウィーツなんて妙な贅沢だと感じる。
双子なのに一人っ子のような俺。
だが別にいい。
これからどう楽しく暮らそうか。
シュッ、シュッ、シュシュッ!
ランニングスタイルでシャドーボクシングをする恐らく男子高校生が湖で本格的な格闘技練習をしていた。
すげえ。
まさか現役の選手なのか? 蹴りまでやってるから相当な鍛錬だ。
小熊のような顔からヒグマの殺気を感じる。
ただし、今度は辺りを撮影し始めた。 やばい。
ちゃんとモザイクを入れてもらおう。
「悪いな。編集の時にはこっちにモザイクを入れてくれ。ホームビデオでもだ」
すると彼は『リングネーム
距離感が変だなと思っていたら
「モザイクは入れさせていただきます。それと、ジムから販促を頼まれていて。そこに俺の所属しているジムと興業の情報がQRコードに載っています。いつでも待ってます」
押忍!!って言って締めたけどガチの格闘家なのか。
結局何を撮ってたんだろう?
厳しい世界なのかもしれない。
また練習をする彼を湖と共に眺めていると結構面白い。
すると空間が歪み、何者かが現れた。
双子の男子高校生とえ?嘘だろ? お互いに目を合わせた。
「
もう一組の双子男子高校生も驚いていた。
「「ふ、
なんて相性のいい兄弟。
そして俺達は相性が悪い兄弟だ。
更に大きな蜘蛛と中性的な顔の男子高校生が現れた。
「う、
驚きばかりだ。
何なんだよこれは。
しかも
でも別人の雰囲気だ。
「黄泉の力に頼るって方法は悪く無いな。
散らばった
しかもぶつけられた相手はしっかりと片腕でガードしている。
「そうか。
ま、
「「またって、幽霊殴った事あるんですか?」」
息がぴったりだなあ。
「話を聞け!俺はお前の記憶も知っている。この
「敵対していないとは、言い切れるか?」
「お前達の味方かと言えば、嘘になるな!」
二人は一歩も引かず闘いを始めた。
第四章
俺の解析はあと少しで終わる。
幸福、黄泉、身体…ここまでは解読が出来た。
調べれば調べる程、複雑な回路だ。
だが…周りに秘密にし過ぎて自分で抱えこんでしまった。
データがしっかりすれば高値でオークションに出せる。
だがその前にこの鉱石は…
「そうだね。今後の我々サケカイで大きな活躍が期待できる」
観察者か。
しかも何故か筒抜けか。
ムカつく奴だ。
急な停電があって、今日の結果を聞きに来ていた
「え?な、なんだこいつ?聞いたことのない幽霊だ」
すると観察者が声を荒げてカッコつけた。
「私は幽霊じゃない。新種族の…観察者だ」
あとで説明しないといけないか。
「取り
強引にワープさせられた俺達はある湖へ着いた。
「
「ええ。ちょっとした腐れ縁と育成の為に」
「相変わらず気にいった奴に試練与えてんのか。厳しいな」
またそこには
「
「相手は俺だ!」
俺は黙って
「
「ああ。よく知ってる!」
気に食わない事態だ。
「虚像。お前は俺の事を…探っていたのか? 」
周囲は混乱している。
俺と奴、観察者だけが知っていた。
虚像はさらっと説明してくれた。
「俺は
「もしかしてあの鉱石の事も?」
観察者にアイコンタクトしてかくにんしている。
どうやらそこだけしか知らないようだ。
俺のことは誰にも知られてはいけない。
すると観察者が続けた。
「さっきの解析を手助けしよう。その鉱石の力を引き出すには一つ、黄泉の夢を見た者。二つ、幸福を
すると虚像の身体が鉱石と反応した。
同時にまた女性と謎の存在が現れた。
「「こ、今度はなんなんだ!」」
一卵性の双子が賑やかす。
「ソノ…鉱石ガアルノカ。」
「どういうこと?ぞうす!」
「
「ああ。だが、その鉱石の条件を満たすのは俺じゃない」
まさか。
本来の…
避けられぬ懐疑〈百鬼:三部〉へ続く
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