第12話 僕の体験したことからの対処法

 突然ですが、このエッセイを締めようと思います。


 理由なのですが、僕が苦しんできたことをまとめるよりも、ジスキネジアを克服するための工夫だったり、方法だったり、解決するための糸口になり得る情報をお伝えするべきではないのか。それが一番重要で大切なことなのではないのか。そう考えた末の結論です。なので、これからそれらをお伝えします。


 ●錯覚を利用してみてください。以前書いたことと重複してしまいますが、人によって、おでこを押してみたり、顎を押してみたりすることで、多少は楽に歩くことができるようになることがあります。僕の場合は顎を押さえることでした。不思議と首の付随運動が軽くなるのです。


 首を押さえたりして無理やり付随運動を止めてしまうと、神経を痛めてしまいます。当初の僕はそれが原因で左腕を動かすと激痛が走るようになってしまい、日常生活すらままならなくなりました。なので、そういったことを回避するためにも試してみる価値はあると思います。


 ●筋弛緩剤を服用する際に、アルコールを一緒に飲むことで効き目を強めることができます。これは主治医から勧められた方法です。当たり前ですが、摂取して良いのはごく少量です。普通にお酒――例えばビールとか。それらを飲むことはあまりに危険です。僕が利用しているのは『養命酒』です。最初は『タフマン』を勧められたのですが、あまり効果を実感できず、主治医と相談した上で養命酒に切り替えました。


 ただし、これは絶対に貴方様の主治医に確認を取ってください。アルコールが体に全く合わない可能性があるからです。私の母がそうです。母はほんの少量のアルコールを摂取しただけで『死』の一歩手前までいってしまいます。


 それと、『抗鬱剤を服用している場合』は絶対にやめてください。あまりにも危険すぎるのです。僕は過去にそれで死にかけたことがあります。そうならないためにも絶対に避けてください。


 ●夏場が回復のチャンスだと思ってください。これは複数人の医師から言われたことなのですが、ジスキネジアが回復するタイミングは夏場が多いのです。理由は、仮に外出したとして、夏場なら首を温めながら歩くことになるからです。それにより、固まってしまった首の筋肉が柔らかくなるケースが多い。


 僕が回復をし始めたのも夏でした。今は冬なので、外出する際には温熱剤を首に貼って温めています。試してみる価値は十二分にあるかなと。


 ●トリガーを見つけてください。タイピングができるまでに、普通に歩けるようになるまでに、正常な日常が戻るまでに三年程かかりましたが、そのトリガーを見つけることができたので今があると言っても過言ではありません。


 僕のトリガーは、要は精神的なものでした。過度なストレスを抱え込んでしまうとジスキネジアが悪化します。なので僕は先回りをして、トリガーになり得るものは全て排除してきました。いや、全てではないですね。僕はワーカホリックのため、今は仕事ができないことが大きなストレスになってしまっていて。なので主治医からは、条件付きではあるものの、仕事を始めて良いとのゴーサインが出ました。自分でも分かるのですが、仕事に就いたら恐らく完治するでしょう。


 そして、これが最後です。最後なのですが、これは主治医に言われたことではなく、あくまで僕の意見であり、考え方です。僕の人生の先輩とも言える方に毎日のようにキツく言われ、キツく守るように言われたことです。


 ●全てを疑ってください。耳に入る情報。目に入る情報。これら全てを疑ってください。もちろん、今こうして書いている僕の意見も。


 入ってきた情報を疑わず、そのまま受け入れるとどうなるか。思考がそこでストップしてしまいます。これは非常に危険だと僕は思っています。情報に関しては全てを疑い、頭の中でしっかりと咀嚼し、噛み砕き、受け入れて良い情報かどうかを判断してから自分の情報として活用してほしいです。


 僕は元々、出版関係の仕事に就いていました。当然のことですが、マスメディアですから、世の中の情報は逐一入ってきます。上司からですけれど。それで分かったことなのですが、この世に溢れる情報は多分に嘘が含まれています。「今の情報、情報規制が入ったから信じないでね」とか、「この情報はほとんど嘘だから信じなくていいよ」とか、よく教えてもらいました。


 つまり、世の中の情報は嘘だらけとも言えるのです。


 だから、情報に関しては全てを疑ってほしいのです。

 思考を止めないでほしいです。


 ●牛乳を飲んでみてください


 これは本当に最近試してみたことです。

 僕はこれまで、筋弛緩剤の持続時間が大体3〜4時間しか持続しないで悩んでいました。それで社会復帰を目指すにあたって、主治医とそのことについて真剣に話し合っていました。それで言われたこと。


「薬を飲む時に牛乳をコップ1杯分飲んでみて。効果は人それぞれだけど、もしかしたら十色くんには効果があるかも」


 という助言をもらいました。僕は逆流性食道炎持ちなのですが、そのために胃酸を抑える薬も服用していまして。持続時間が短いのはそこに原因がある可能性が高いとの見解でした。それで半信半疑の中で試すことにして、一週間以上経ったのでお伝えしようと思います。


 結果から言いますと、持続時間が一気に長くなりました。持続時間は6時間程まで伸び、長い時には8時間持続することもありました。ただ申し訳ないことに、その根拠について詳しく聞いていなくて。あまり期待していなかったのです。ですが効果があったので、一応追記することにしました。試してみる価値はあるかもしれません。


 *   *   *


 お伝えできることが意外と少ないですね。なんだか申し訳ないです。


 それで、一応この作品は完結ということにしますが、何かご意見だったり相談だったりがありましたら、コメント欄にお書きください。もしかしたら、少しはお役に立てることもあるかもしれませんし、投げっぱなしにはしたくないです。


 それで少しでも、心の中の鉄球が軽くなるなら、僕を利用してください。

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僕の運命を変えた12月18日〜遅発性ジスキネジアとの闘病生活〜 十色@絶対復帰してみせるマン @toiro_8879

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