ゲーム終了後
⚄⚅⚅話 TRPGやろうぜ!(終)
「今日は付き合ってくれてありがとうな! マユミ! リッカ!」
満足そうに笑うダイチに、女子2人も笑顔で返す。
「私も凄い楽しかったよダイちゃん! またやりたいかも!」
「そっか! そう言ってくれると俺も嬉しいよ! ありがとうな!」
「ああ……結構ウーロに入り込んじゃったよね。凄いカロリーを消費した気がする」
気がつけば夕暮れ時となり、オレンジ色の光が部屋に差し込んでいた。
ダイチから思い出を振り返る。
「それにしても、まさかお姫様抱っこさせられるとは思ってなかったぜ!」
「ッ!? ぬああああああもうその事は忘れていいよ!」
「いや、マユちんそれは無理っしょ。手まで繋いじゃってさ」
「あ、ああああれは流れだから! ロールプレイのいっかんだから!」
いろいろ思い出して顔を真っ赤にしてジタバタするマユミ。
「リ、リッカちゃんだってお姫様抱っこしてもらってたでしょ!」
「フフフ、ちゃっかりとね。今度は壁ドンしてもらおうかな」
「か、壁ドン! いいねそれも!」
「おい……2人で何勝手に決めてるんだよ」
マユミとリッカが騒ぐ中、ダイチは乾いた笑いをして、TRPGの内容を振り返っていた。ふと、マユミが思い出したようにオズオズとダイチに尋ねる。
「あの……ダイちゃん」
「ん?」
「ダイちゃんって……将来のこととか考えてたりする?」
急な質問に皆静まり返った。
「なんだよ急に?」
「さっき、ウーロちゃんが人生設計の話してたよね」
そう聞いてダイチは「あー」と思い出す。
「あのニート計画の」
「ニートって言うな」
リッカが突っ込み、そのままマユミが質問を続ける。
「そういえば、ダイちゃんから将来何なりたいとか聞いた事ないかもって、ふと思って」
「マユちんのお婿さんとかじゃん」
「ちょ、ちょっとリッカちゃん!? なななな何言ってるの!?」
茶化すリッカと慌てふためくマユミ。
将来の質問をされたダイチは考える。
「うーん……正直、あんまりそういうの考えた事ないんだよな。正直の夢とかもちゃんとはなくてさ」
「ダイちんって、いつも思いつきの行き当たりばったりだもんね」
それを聞いて、リッカもマユミも納得してしまった。
しかし、彼は続けた。
「夢とかではないけど、願望はあるぞ」
「願望?」
マユミが聞き返すと彼は頷いた。
「こうして今は3人で毎日遊んでるけど、いずれは皆それぞれの道に進むだろ」
ダイチの言葉にマユミとリッカは黙る。
「引っ越しや、社会人になったら一人暮らし、俺達の誰かが自分の家から離れれば、今日みたいにすぐ集まったりは出来ない」
「……」
「それに、誰かに彼氏彼女が出来たら、いつも通りの友達付き合いだって正直難しくなるだろ?」
「それは……」
押し黙るリッカに何か言おうとするが、言葉に詰まるマユミ。
ダイチは続ける。
「きっとこの先、どこかで皆がバラバラになるかもしれない」
遠くからひぐらしが鳴く。
「でも、時間経って大人になっても、またこうして集まって、今日の出来事とかを皆で話し合える。そんな関係が続けば良いなって俺は思ってるよ」
頬を掻きながらダイチが話し終えると、
「当然だよ!」
「幼馴染を舐めてもらっちゃ〜こまる!」
マユミが迷いなくダイチの手を握る。
リッカも手を握る。
2人は互いに頷き真っ直ぐダイチを見る。
「どんな事があっても、私達はずっと一緒だよ。離れたとしても絶対に会いにいく」
「ワタシにとって、2人との時間は掛け替えのない物。こんな関係、終わらせるなんて絶対有り得ないってば」
「……ありがとうな! 俺も2人のこと大好きだぜ!」
こうして、3人の1日は終わる。
「えーっと? ダイちゃん?」
「ダイちん、どこ向いてるの?」
最後にダイチは、画面越しの君に向かって話しかける。
「良かったら今度お前も一緒にさ!」
〈TRPGやろうぜ!〉
完結
🎲夏休みにTRPGやろうぜ!🎲 隣の家の幼馴染2人を呼んで遊んだら2人共甘えてくる バンブー @bamboo
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