ゾクッとせざるを得ない。冒頭の語りに強く納得しました。

人事部に異動した「私」は、前任から引き継いだ人事名簿におかしな点を見つける。軽い気持ちで真相を探ってしまった結果、たどり着いたのは――

不穏な始まりにグッと引き込まれました。「薄暗い気持ちが勝ってしまった」、「愚かなこと」のくだりは、禁忌を犯している感があって、ホラー的な伏線にも感じました。
途中までは「お仕事小説のようでもあるな」と思いながら読んでいたのですが、興味本位でいろいろ調べていくうちにたどり着いた結果には、思わずゾクッとしました。忘れるようにしていたのも、特定されたくないのも、コメントを返しづらいのも納得です。
なのに、読み手の私も真相についてあれこれ思いを巡らしてしまうのは、人のサガなのでしょうか。