凡人、運悪く最狂と対話する。
蠱毒 暦
城内を歩いていると質問部屋があった。
???「エンリ…『質問部屋』だって。試しに入ってみるか?」
???「凡人の提案に従うのは癪じゃが、この場所は退屈で窮屈じゃし、特別に付き合ってやるとするかの。」
1.名前とお互いの関係について。
???「名か。ワシは…エンリじゃ。『原初の魔王』『抑止力』『最古の呪い』ふん。好きなように呼べばよい。凡人との関係…一応は主従関係で成り立っておる。すぐにでも破却しても一向に構わんが…」
凡人?(恐怖)「勘弁して下さい死んでしまうだろ!?エンリさん。あ…僕の名前は
エンリ「不満か?ならばここで朽ち果ててもよいぞ…折角じゃ。ワシ自らその粗末な首を斬り落としてやろうか?」
鑢「あ、いやぁ〜なんでもないですよ。あはは…エンリは本当、冗談が通じないんだからぁ……鎌を僕の首に当てないでくれ…!!」
エンリ「……。」
2.お互いの第一印象について。
エンリ「全てが並の凡人。はっ…しいて言えば、魔力量が多くそれに比例するかのように幸運が尋常ではない程に低い……この鎌で断頭するべき変態じゃ。」
変態(事実)「だってお前、召喚された時…全裸だったから…ああ言っても仕方ないだろ!!だから僕の第一印象は露出狂だ…待って僕は事実を述べただけ、やめ…ぎゃあーーー!?!?」
3.相手のことをなんと呼ぶ? そう呼ぶようになったきっかけはある?
エンリ「『凡人』、或いは「うぬ」と呼んでおるなワシは…見たまんまじゃ。それ以上でもそれ以下もないのう。」
凡人(消耗)「ぼ、僕は『エンリ』か『エンリさん』…とかかな……はぁ、はぁっ……」
エンリさん「ふん。軽い遊興じゃったのにその体たらく。早く息を整えろよ凡人。」
凡人(安堵)「はぁ…あ、危なかったぁ……危うく死ぬかと思ったぁ…」
4.喧嘩はする?
エンリ「軽い口喧嘩の様な事はこの凡人と何度かした事はあるが、ほう。意外な事に本気の殺し合…喧嘩はした事がなかったのか…ふん。試しにやってみるか凡人?」
凡人(怯え)「エンリ。割とその軽い口喧嘩で僕、死にかけてるんだ…だからさ、本気でやれば…普通に死んじゃうよ?」
エンリ「いや。案外、やろうと思えば善戦するかもしれん。全盛期ではない…今のワシになら。」
鑢「……?」
5.相手が機嫌悪いときはどうする?
エンリ「おい凡人、今…」
凡人(失笑)「僕の機嫌が悪いなら、一度殺してすっきりさせてやろうか…みたいな事を言う訳ないよな?」
エンリ「……チッ。」
鑢「当てずっぽうだったのに…マジか。その発想が怖えよ。僕、別に不死身じゃないからな!!!コロっとくたばっちゃうんだからな?」
鑢(エンリの機嫌…悪そうだし、後で可愛らしい服でも作ってあげよう。)
6.相手が喜ぶこと、嫌がることを把握してる?
エンリ「凡人、ほれ…侍女が住んでいたらしき部屋から見つけた…パンツじゃ!」
変態(熟女で未亡人好き)「どれどれ、淡い水色の生地で、白い花が刺繍されている…成程。こういうのもアリか。勉強になるな…よし、じゃあお礼に僕が作ったこの至高なるパンツを…」
ノーパン主義「いらんって。何度も言うがの、ワシは下着を穿かない主義じゃからな!!」
7.誕生日には何かする?
エンリ「ワシに誕生日などないの…おい、うぬ。何かワシにして欲しい事はあるかの?」
鑢「……例えば?」
エンリ「そうじゃな…例えば、気に入らん奴を呪い殺せとか…軽く世界を滅ぼせとか…なんでもよいぞ?」
変態(冷静)「じゃあ…パンツを穿いてくれ。」
ノーパン主義「断る。」
「「…………」」
8.お互いの部屋に入ったことはある?
エンリ「凡人の部屋は、中々に面白い部屋じゃったな。チキンで彼女もおらん癖して、そこら中に大量の女物の服が散乱しておってな…」
凡人(驚愕)「っ!?何故それを…あ。また僕の記憶を覗いたな!あ、あのなエンリ。あれは羅佳奈…じゃなかった。友達の為に制作していた奴であってだな…」
エンリ「なんじゃ…早く続きを言ってみよ?」
鑢「……ごめん。なんでもない。エンリの部屋は個性がない殺風景な部屋だったなって思い出しただけ…イデデデデデデ!!!!」
9.ここだけは直してほしい!
エンリ「…時々出てくる変態的な行動を謹んでほしいかのう。」
変態(不満)「エンリだって、そういう態度を…グハッ!?むぎゅう…」
エンリ「すまんのう。丁度踏み心地が良さそうな頭を見つけて、つい遊んでしまって…聞こえんかったわ。もう一度聞いてやろうか?」
鑢「……!?!?いえ、もういいです調子に乗ってました!!僕を解放して下さい!!!」
10.不意に相手が泣いているのを見てしまった、どうする?
ドS少女(愉悦)「こうして泣いている姿を見ていると…もっと痛めつけたくなるのう。ほれほれ…」
ドM男(快感?)「むぎゅう!?ぐすっ…もう次の質問なのに…僕まだ踏んづけられてるままなのかよぉ!?」
エンリ「別にワシは凡人の懇願に対して返事をしておらんからの…ふむ。もし万が一にもワシが泣いておったら、うぬはどうする。」
凡人(馬鹿)「後ろから抱きしめてあげるとか…はっ!?いいや、敢えての大爆笑とかどうでしょうか!!!」
——ベキィ
エンリ「その発想は悪くないが…却下じゃ。」
11.平常時、非常時、主導権はどっちにある?
エンリ「平常時も非常時も…全てワシが主導権を握っているに決まってるじゃろう?所詮はワシを現界させる為の魔力タンクみたいなものじゃからな凡人は。」
キュー…
エンリ「少し強く踏みすぎてしまったかのぅ。ふん。その内、起き上がるじゃろうから、ワシは少し…席を外すとするかのう。ここに来てからずっと我慢しておったし。」
12.相手が罪を犯したらどうする?(一緒に逃げる、自首するよう説得する、血に汚れた手を洗ってあげる…等)
鑢「う…エンリは……トイレかな?気を取り直して…質問は、あれ?もう12か。どれどれ…っと。」
鑢「相手って事は…エンリが罪を犯したら…って事はつまり、僕がエンリの行動を抑える事が出来ずに誰かを死なせてしまった時…か。」
鑢「ずっと頭の隅で考えていた事だけど…逃げるのは論外だとして…説得とか、エンリに賛同するなんて事も。ビビりでチキンな僕には出来そうもないんだよな。」
鑢「でも。もし、逆にエンリに匹敵するような力が僕にあるのなら…間違いを犯したエンリの事を……きっと。」
——事の次第では、決して許す事が出来ず…怒りのままに、エンリを殺そうとしてしまうかもしれない。
……
…
13.自分だけが知ってると思う相手の豆知識
エンリ「帰ったぞ凡人。次は…凡人の豆知識か…この場にはワシとうぬしかおらんから、さっさと言え。」
凡人(仰天)「え…そういう形式だっけ!?確かにこの部屋には2人しかいないけど……分かったよ。よく聞いとけよ…ここに来るまで、実は僕にも好きな人が…」
エンリ「それは知っとる。他じゃ。」
鑢「え?そ、そう。じゃあ…僕の家族構成とか」
エンリ「父と母の3人暮らし。今は、自立してアパートにうぬ1人で住んどるんじゃったかのぅ。」
鑢「……そこの大家さんが、」
エンリ「大層、世話焼きでいつもうぬに手料理をおそそわけしてくれておるんじゃよな。その味はいいんじゃが、どんな料理でも何故か鉄筋コンクリートのような食感がするんだったりするかのぅ?」
鑢「するかのぅ?じゃねえよ。エンリ、どこまで僕の記憶を見たんだ?」
エンリ「〜♪」
鑢「下手くそな口笛で誤魔化すな!!じゃあ、僕もエンリの恥ずかしい事とかも言ってもいいんだよな?」
エンリ「ほう。なら言ってみ…」
鑢「ごめんなさい!!!」
エンリ「謝罪がマッハじゃな…まあよい。一つだけうぬに教えておいてやるか。」
鑢「…え?」
エンリ「いずれワシは…塗り潰した筈の——に置き換わ…」
——ブツッ
14.ここまでありがとうございました。お二人が登場する作品を宣伝していってください!
鑢「ぁ……ここは、あれ?さっきまで何してたんだっけ…?確か…『質問部屋』とか…」
エンリ「…むにゃむにゃ……」
鑢「はぁ。廊下で寝るなよ…僕もだけど。」
???「失礼するであります。吾輩の親友に郵便のお届けでありまぁす!!!」
鑢「僕に…?あ、ありがとう。って、お前…どうやってこの城内に…」
気がつけば、僕が通っていた高校の制服を着ていた男はいなくなっていた。
鑢「…封筒。何が入ってるんだろ?」
考えても意味がなさそうだなと切り替えて、封を開けると、一枚の紙が入っていて…
今少しずつ書いている『凡人、運悪く最狂を召喚する。』をよろしくお願いします。
by 作者
鑢「……っ、宣伝かよぉぉぉぉーーー!?!?!?」
紙を封筒に入れてぐしゃぐしゃに丸めて、廊下の窓を開けて、思いっきり外に投げた。
鑢「はぁ…よく分からない宣伝紛いの事を僕に押し付けやがって…!!!」
エンリ「むぅ…うるさいぞ。凡人…ワシの眠りを妨げるとどうなるか…その体に叩き込んでやるとするかのぅ。」
鑢「…え、いやこれは違っ、」
その後、鑢が寝起きでイラついたエンリによって城内に響き渡る程の叫び声をあげて…忘れていく。
元々そこにあった筈の『質問部屋』がなくなっていることを。
了
凡人、運悪く最狂と対話する。 蠱毒 暦 @yamayama18
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