終章 すべてこの世はこともなし
「こら、エル、まちなさい! ダナ家の人間には教えておかなければいけないことが……!」
王立アカデミーの
「ああ、サリヴァンさん! エルを見ませんでしたか⁉」
「……かの
「そうですか、ありがとう。ああもう、あの子ったら。あんな大変なことをしでかして、少しは落ち着くかと思ったのに……ちっともかわらないじゃないの!」
フラン先生は自慢の赤毛をかきむしりながら走り去った。
「……もういいよ」
サリヴァンが
エルはすっかり以前の生活を取り戻していた。自分のしでかしたことを
「たしかにあたしたちは悪いことをした。でも、それも友だちと引きはなされたくなかったからよ。おとなの
「ダナ家とミレシア家はどっちもデイモンの
死刑にするならしろ!
そう開きなおっての
「たしかに、これは
両家の
それに結局、
むしろ、大半は『イタズラっ子がまたホラを吹いている』ぐらいにしか思っていなかったらしい。けっこう
『いつも変な話ばっかりしてたけど今回のはよくできてるなあ。スケールがでかいし、スリルもある』と。
そのため、エルとニーニョはしばらくの間、あちこちに呼ばれ、
そういうわけで、エルとニーニョは以前通りの生活をすることを
庭師のサリヴァンがさすがにあきれたように言った。
「
エルは笑顔で答えた。
「当たり前じゃない。あたしだってあんなことでかわるほどシュタイセイのない生き方をしていたわけじゃないもの。第一、勉強なんて夜中でもできるけど、友だちと一緒に太陽の下を飛びまわれるのは昼間だけだもんね。どっちが大事かなんて考えるまでもないわよ」
「なるほど。それもそうか」
なんだか
「お~い、エル!」
ニーニョが元気よく片手を振って駆けてきた。
「ニーニョ!」
エルも手を振りかえす。こぼれるような笑顔が浮いていた。
「こめん、ごめん。ケネス先生を巻くのに
「ううん。あたしもいまきたところ」
「よし、それじゃ行こう」
「うん!」
ふたりは手をつないで走りだした。その背に向かってサリヴァンが声をかけた。
「どこへ行くんだい?」
ふたりは振り返った。満面の笑顔で答えた。
「もちろん!」
「秘密の冒険さ!」
そして、ふたりは駆けだしていった。ただひとり残されたサリヴァンは
かたつむり枝にはい
神 空にしろ示す
すべてこの世はこともなし
完
星座の街のエル&ニーニョ 〜世界を石に変えてしまったふたり〜 藍条森也 @1316826612
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