終わった。
ついに、終わった。
この長大な物語をついに、最後まで書ききった!
それも、ただの一度もペースを崩すことなく。
自分、凄い!
偉い!
立派!
これでもういつ死んでもいい!
いや、もうほんと、そう思っている。
それぐらい、人生そのものと化していた物語だった。
いったい、誰に想像できる?
この長大な物語が千文字にも満たない小編から生まれただなんて。
そう。
この物語、実は『カクヨム』の誇るお題マスター、クロノヒョウ氏のお題企画『壊れたオルゴール』に参加した千文字に満たない小編がもと。
その小編がある日突然、ビッグ・バンを起こし、長大な大河浪漫に化けてしまった。
そして、この物語。
本当にただの一度も話に詰まったことがない。
もちろん、気分が乗らなくて書けない……といったことは何度もある。
しかし、『なにをどう書いていいのかわからない』という理由で書けなかったことは一度もない。
先の展開について迷ったことはない。
考える必要すらなかった。
すべてが最初からわかっていた。
あのラストはずっと頭のなかで見えていたものだし、どのキャラがいつ、どこで、どのように死んでいくか。
それもすべて、最初から決まっていた。
そのキャラが自分のなかに登場したその瞬間から、わかっていたのだ。
この物語はある日突然、自分のなかにゴロッと丸ごと生まれてきた。
自分は断じて、このも物語の『作者』ではない。
演奏者である。
自分のなかに生まれてきたこの物語。
それを文章という形にするのが自分の役割。
そして、自分はその役割を果たし抜いた。この物語を最後まできちんと書ききったのだ。
書き手として、物語自身とその読み手に対する責任を果たせたこと、本当に嬉しく思う。
完璧!
だとか、
非の打ち所のない!
だとか、
そんな完成度を誇る物語では決してない。
欠点はある。
悔やんでいる箇所もある。
活かしきれなかったキャラや設定ももちろん、ある。
なにより、あまりにも短すぎる。
文字数にしておよそ、一八五万文字。
文庫本一八冊分。
分量で言えば充分に圧倒的。
文句なしの一大大河浪漫。
にもかかわらず――。
この物語としては、恐ろしく短い。
本当に、必要最小限のことだけを書いた結果だ。
キャラであれ、国であれ、設定であれ、掘りさげられる部分はいくらでもある。
もし、そのあたりまで書き込んでいればたちまち五倍、一〇倍の長さになっていた。これほど『短くすんだ』のは奇跡に近い。
それもこれも、自分が一話完結に特化した短編型の書き手だからだろう。それが良いことか悪いことかは別として、とにかく、それが自分という書き手の書き方なのだ。
それをどう受けとるかはそれぞれの読み手次第。
自分の関わることではない。
しかし、書き手としてこれだけは断言できる。
この物語は絶対に、もの凄い。
藍条森也