夏祭りに繰り返される出会いと別れ

 祭囃子が遠い雑木林でささやかな逢瀬を交わす。
「もしも君が忘れてなかったら」
 毎年紡がれる別れ文句をよすがに彼女は自分の人生を歩む。
 絶望の日々に灯る思い出は、祭り提灯のように心を照らす。
 寂しさゆえに思い出せない名前を口にした時、人ならざる者は彼女の手中に落ちる。
 命短き人の執念は、神仏さえ引き寄せるだろう。

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