あぁ……美しい。美しい春の香りがする。美しい恋の薫りがする。

「ため息が出るほど美しい情景描写」
そんな言葉で済ますのが申し訳なくなるほどの、圧倒的な「世界描写」

風が、香りが、花が、光が、音が、湿度が、暑さが、生きている。

これは絵というより
全身で感じる何か。
触れられる何か。

その風と、香りと、花と、光と、音と、湿度と、暑さともに感情が運ばれてくる。

恋がこの世界に彩られる。
美しく触れたくなるような、日差しを受けてキラキラと輝いているような感情も、そうでない感情も、その全てを抱き締めたくなる。
ギュッと……苦しくなるほど。

そんな作品。

大切に読みたい、作品です。