【あとがき――という名の簡単な解説】



 はじめましての方ははじめまして、そうではない方はいつもお世話になっております。

 吹井賢です。


 こちらの『誰もが認める優等生なあの子が不良だということを僕だけが知っている』は、第3回「G’sこえけん」音声化短編コンテストに応募するために作成した短編です。……タイトル長いな。このタイトルは一分くらいで決めました。なお、本文は一晩で書き上げました。やっつけ仕事ではないよ? 構想自体は第2回のこえけんの時からあったので。

 何を話そうかな……。作品のコンセプト自体は、「優等生なヒロインな裏の顔を主人公だけが知っている」という、定番も定番、新しさの欠片もないものなのですが、作者的には、ヒロインと主人公が最初から両想い、という一点で、珍しい作品です。「なんかダダ甘な作品書きたいなー」と思った結果、できました。というわけで、実は二人は最初から両想いです。両片想いってやつですかね? ヒロイン・常盤藍は、「煙草吸ってる女子なんて、男子は嫌だろうな……」という思いから、語り手である“僕”はこの関係を壊したくないという思いから、それぞれ告白していなかった感じですね。でも、三年生になって、部活を引退することになり、“僕”は、「もうこの関係が終わってしまうならば、想いを伝えておこう」と考え、告白しました。今後、彼等はどうなったんでしょうね? まあ、何処かで仲良くやっていると思います。

 ちょっとだけ真面目な解説をすると、この作品は、『金曜日には終わる恋』から続く、「若者のキャラ作り」を題材にしたものでもあります。社会学で言うところの『役割理論』ですね。ミードとかが言ってるやつです。若者の“キャラ”については、「社会学における『対人的役割(≒他者から期待される在り方)』ではないか?」という視点があり、つまり、常盤藍の場合、優等生のフリをすることで、優等生の役割(≒キャラであり、クラスの地位)を得ることができたのですが、そこで本来的な自分との齟齬や不満(≒役割葛藤)が発生し、どうしようもなくなっているのです。そんな中、優等生の役割と不良としての自己を持つ常盤藍を“僕”は知り、関係性を構築する中で承認し、好意を抱きます。そして、それは彼女にとっては自己を認められたに等しいことなのでした。……小難しいことを書きましたが、つまりは、「人には色んな顔があるし、その多面性を『それもあなただよね』と認めてもらえると嬉しいね」ってことです。

 今回のテーマソングは『ミレニアムハッピー・チェンソーエッヂ』。「制御できないの どうにもできないの ごめんね」「いい子でいられる時間もあと少し」から始まり、サビでは「こんなんじゃ世紀が終わっちゃう! 恋が覚めてしまう」と語り、大サビでは「こんなんじゃ青春が終わっちゃう!」「だけどどうせいつか終わるから 毎日をちゃんと諦めないでくれ」と呼び掛ける、ノリの良いラブソングです。いい子(優等生)ではなくなっても、青春(高校時代)が終わってしまっても、彼女等がこのナンバーのように、楽しく過ごしていたらいいな、と思います。


 この作品が、皆様の一時の楽しみになれば、それが作者にとって最高の喜びです。

 それでは、吹井賢でした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

誰もが認める優等生なあの子が不良だということを僕だけが知っている 吹井賢(ふくいけん) @sohe-1010

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ