最後のひと欠片だけは


 昔は幸せに満たされていた主人公。

 誕生日には皆に囲まれておいしいチョコレートケーキを食べることが恒例でした。

 彼女の幸せはずっと続くものと思われたのですが……



「マッチ売りの少女」のような儚さを覚える作品でした。

 寒さが少しずつ温かみを取り去っていくような、そんな悲しみがありました。

 ですが、彼女の寄辺はマッチのように燃え尽きることはなく、小さく温め続けるのです。

 苦くも救いのある短編でした。