砂漠に聖水撒いたら芽が出たんだけど。草生える

滝川 海老郎

第0話(ほんぺ) 草生える

 ワイ氏、砂漠の国に転生す。


「ほーれーほれほれ、聖水ちゃんだよぉ」


 なぜか知らないが私の手からは聖水が出る仕様だった。

 ちょっとたくさん撒くとお腹がすいちゃうんだけど、それくらいかな。


 毎日、砂漠に聖水を撒いて歩いていたら、芽がね。


「芽がああああああ」


 出たんですよ。


「草生えるwww」


 オアシス都市の横に、草地が広がっていた。


 昔、テレビで見たことがある。

 砂漠に見える土地でも、雨が降ると二週間後くらいには花畑になるんだって。

 砂漠には種や根っこがあって、水を待ってるんだそうだ。


「すごい、すごいですぞ。姫様~~」

「うんうん、やっぱり私のおかげだよねぇ」


 スイカの花も咲いて、薬草もたくさんの種類が芽を出した。

 オアシス都市でも、こうして生活できそうだった。


 草が生えた所では、四属性のカラフルな妖精たちが踊り回っていた。

 それを見た住民たちも加わり、今ではどんちゃん騒ぎだ。

 ラクダのミルク酒などを持ち寄り、宴会に発展している。


「や~ほ~い~」

「さぁ~よっと、もういっちょ、よいっしょ」


 歌や踊れと騒いでいる。

 よほどうれしかったのだろう。


 こうしてオアシスの花畑は伝説となるのだった。


(了)

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