赤いオッサン

ナカナカカナ

赤いオッサン

 真夜中……

 物音がして少年は目が覚めた。窓が開いているのか……冷たい風が部屋の中に入ってきている。


「う、寒っ……」


 開けた覚えはないのに……

 そう思いながら、窓を閉めようとベッドから体を起こし、窓の方に目をやった。すると……


 ? 人影?


 よくよく目を凝らして見てみると……窓際に『全身赤ずくめの白いヒゲを生やした見知らぬオッサン』が少年の方をジッと見つめながら立っていた。


 少年はその『赤いオッサン』の突然の出現に驚いた。


 異様な雰囲気を醸し出すその『赤いオッサン』に恐怖感を覚えた少年はその場から逃げようとしたのだが……

 足が動かない……腰が抜けてしまったのだ。

『赤いオッサン』は少年の方を見据えたまま、ゆっくりと近づいてくる。

 助けを求めたかったが、恐怖のあまり少年は声すら出す事が出来ずに、ただ『赤いオッサン』が近づいてくるのを見ていることしか出来なかった。

 少年のすぐそばまで近づいた『赤いオッサン』は、背中に背負った白い袋から何かを取り出し少年にその『何か』を突きつけてこう叫んだ・・・


「Merry X'mas!!」


 呪文? 外来語? とにかく日本語じゃない。

『赤いオッサン』はそう叫んだかと思うと、ベッドの横に脱ぎ捨ててあった靴下を見つけ……

 その『何か』を


「Merry X'mas! Merry X'mas!!」グイグイ……


 ワケの分からない呪文を叫びながら靴下に強引にねじ込み始めた。

 突然のことに驚きながらも少年は必死にやめさせようとするのだが


「Merry X'mas! Merry X'mas!!」グイグイ……


 いっこうにやめる気配はない……


「Merry X'ma……Me……AH……AHHHHHHHHH!!!!」グイグイ……ビリビリビリビリー!


『赤いオッサン』はついに、その『何か』を靴下を破きながらも強引に半分ほどねじ込んだ。

 それで満足したのか。『赤いオッサン』は不気味な笑みを少年の方に向け窓の方へ……

 そして、もう一度大きな声で


「Merry X'mas!!」


 そのまま窓を乗り越え、『赤いオッサン』は夜の闇に消えていった……




 ────────

 

 

 

 夏だからこそ、子供達に教えておいて欲しい。

 サンタさんは、こんな感じでやってくるけど……

 

 怖がらないでね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

赤いオッサン ナカナカカナ @nr1156

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ