デート3

「何だかエントランスが騒がしいんだけど?」


 ショッピングモールを包囲している特殊部隊で浮いている存在。

 一見するとブレザーの学生服に見える彼女は魔法省から警察庁へ出向している魔法少女、九神楽(いちじく かぐら)はそう言い放った。


「九さん少々よろしいかな」


 特殊部隊の指揮官から声を掛けられる。付いていくと指揮車で状況を説明してくれた。


「先ほど、一部の人質が解放された。状況としては占拠していたもの達とは別の魔法少女がエントランスを制圧しているとの事だ」

「え?」

「解放された人質の情報を元に検索したところその魔法少女が該当人物らしい」


 指揮官から端末を渡される。其処には野良の魔法少女が表示されていた。不鮮明な写真と共に以下の情報を表示して。

 警告:閲覧には担当魔法少女による認証が必要です


「なるほど...」


 九はパスワードを入力し情報を表示させる。そこには魔法省で収集されていた情報が表示された。

 二人の顔色はみるみる悪くなっていく。


「隊員には決して敵対的な行動を取らないように通達して下さい」

「わかっている。既に厳命している」

「では、私一人で接触を試みます」

「すまんが、頼む」


 九は不味い事案に当たってしまったと考えていた。


 腰のレイピアを確認し、一人エントランスに近づいていく。中央には情報通り自身の背丈を超える両手鎌を持った白髪の魔法少女が立っていた。


「死神の魔法少女さんでしょうか」

「そうだけど」

「私は警察庁所属の魔法少女九神楽です」

「そう」


 くるくると得物の両手鎌を回しながら、関心が無いとばかりに素っ気ない態度をとられる。


「何あれ...化け物じゃん...兎に角刺激しないようにしないと」


 緊張で喉が渇き、手汗が気になったが、会話を続ける。


「いきなりで恐縮ですが、人質と犯人グループを引き渡していただけないでしょうか」

「いいよ。要らないし」

「ありがとうございます」


 九は思いの外会話が出来る事に安堵した。


「私は構わないんだけどさ?上の助けに行かなくて良いの?」

「え?」

「説明するの面倒だからさ、自分で見て来なよ」


 そう言ったきり、もう興味はないとばかりにこちらへの視線を切った。


 仕方がないので言われたとおり上階に歩みを進める。その先には犯人グループからの襲撃を凌いでいる魔法少女と警官の姿があった。


「駐在さん、一旦隠れて!!」

「嬢ちゃんすまねぇ...」


 手を撃たれた駐在さんを後ろに杖から魔法を犯人グループに向かって放つ。

 乙川灯は魔法少女に変身できるものの、初めて変身してから殆ど変身したことが無い。映画鑑賞をしていたところを駐在さんと巻き込まれた形だ。

 そして私の後ろには一般の人が何人も居る。


「私が頑張らないと...」


 膠着状態が続く中、犯人グループの魔法少女がしびれを切らした。


「ちっ、拉致があかないわね。私が直接やるわ」


 苛立ちながらこちら向かって加速してくる。炎を纏った刀で切りつける2度は杖で防げたが、もう体力も魔力も限界だ。


「死ねっ!!」


 そして戦いに慣れていない私はその場で目を瞑ってしまう。


「もうダメ...」


 しかし、いつまでも痛みが襲ってこない。おそるおそる目を開けると其処には倒れた犯人グループの魔法少女がいた。


「えっ?」

「私が相手をしましょう」


 知らない魔法少女が犯人グループの方へ視線を向ける。


「ちっ、撃て!!」


 彼らは発砲するがその魔法少女へは全く当たらず、手にしたレイピアで一気に突かれていた。


「すごい...」

「ふぅ...」

「貴女、大丈夫?」


 その魔法少女から声をかけられる。


「ありがとうございます。助かりました」


「こちらこそ、一般の方を匿って下さりありがとうござました。私は警察庁所属の魔法少女 九と言います。先に怪我を負った方の手当を。」

「はい。こっちです」


「間に合って良かった。死神の魔法少女に感謝ね。死神に感謝というのも皮肉だけれど。」

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死神とTS魔法少女 芳乃 @izureayameka_kakitsubata

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