概要
低次元が高次元、高次元が低次元。マウントの取り合い。
橘司はふと目覚めると真っ暗な部屋の中にいた。 手足を拘束され、身じろぎすると体に激痛が走る。そこは精神科の保護室だった。 十九歳という最年少で公認会計士の資格を取得、以後、会計事務所や監査法人で実務経験を積み重ねてきた。 時に人間関係に悩みつつも真っ当に歩んできたはずが、勤務先が反社会的勢力と繋がっているのではと強い疑念を抱いたことから精神の均衡が破れ、奇矯な行動に走って警察に捕らえられた挙句、「統合失調症」と診断されて入院となったのだった。 心を病む他の患者たちとの交流の中、正とは、悪とは何か、自分には何か特別な力があるのだろうか、などなど、千々に思い乱れる日々が続く。 現実と妄想の狭間で揺れ動きつつ、自身の病と向き合った一人の青年の貴重な記録。
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